音楽関連の公益法人のデジタル環境整備による業務効率化・ユーザー利便性改善をご支援。 2022年から開始したHubspt導入と決済システムの連携開発プロジェクトを通じ、今も業務効率化を目指した支援を続けています。
課題
アナログ主体の業務管理とオーディション運営の非効率性
この公益法人の課題は、主にオーディションや会員管理においてアナログな運用に依存し、非常に多くの人的コストがかかっていたことです。団体内では申込者とのコミュニケーションが電話やFAXで行われることが当たり前となっており、急務とされていなかったため長期間にわたり問題が放置されていました。
問題点1 手作業依存の業務
オーディション参加者が約3,000名にのぼるにもかかわらず、デジタルツールの活用が十分に進んでいませんでした。
問題点2 限られた決済手段
オーディションの参加申し込みや決済が簡易書留郵送と郵便振込のみであり、オンライン決済の手段がなく、ユーザーにとって利便性が欠けていました。
問題点3 個人情報管理の不備
プライバシーポリシーが制定されておらず、会員情報の管理方法が適切でない可能性がありました。
問題点4 会員への価値提供の不足
コロナ禍ではオフラインでのコンクールなど人を集める行事は中止を余儀なくされました。その結果、会費が発生しているにもかかわらず、会員に十分な価値を提供できず、不満の声が上がっていました。
これらの課題について、具体的にお話しします。
オーディションへの参加申し込みは、郵送による申込書提出が必要で、決済手段も簡易書留郵送と郵便振込に限定されていました。また、年齢や地区ごとに異なる部門があり、参加費も異なるため、複雑な情報の処理が求められます。それにもかかわらず、申し込み内容の管理はExcelで行っており、手作業による多大な工数がかかっていました。さらに、プライバシーポリシーが制定されておらず、管理の煩雑さにリスクが伴っていました。
これらの状況を改善するため、オーディション運用業務の効率化と会員管理方法の改善が急務であり、マーケティングオートメーションツールを活用したオーディションシステムの構築が必要となりました。
解決策
CRMツールとオンライン決済の導入
公益法人のオーディション申し込み対応業務を効率化するために、まず申込者の管理をExcelから脱却し、システムでしっかりと管理することが必要でした。また、デジタル決済を導入することで、ユーザーの決済をより簡便にし、利便性を高めることも重要でした。
そこで当社はCRMツールの「Hubspot」と、決済システム「Stripe」を連携させたデータ管理基盤の構築を提案しました。クレジットカード決済を実現することで利便性を向上させ、決済データと会員データをシームレスに連携させることで、データ管理の負荷を軽減することが目的です。Hubspotは拡張性が高く、業務改善を幅広くサポートできる点や、導入が比較的容易であることが選定理由の一つです。
具体的には、以下を行いました。
Hubspotの導入・初期設定を代行
Hubspotで作成したフォームをWebサイトに設置することで、申し込み情報がHubspotに申込者データとして自動的に蓄積されるようにしました。Hubspotから申込者への個別メッセージ送信も可能で、効果的かつ効率的なコミュニケーション体制を確立しました。またHubSpotを活用した顧客データ管理ができるよう、必要な初期設定も代行しました。
StripeとHubspotを連携
Hubspot上で支払い状況も管理できるようにしました。フォーム入力後、クレジットカード決済を選択した場合はStripeに遷移し、銀行振込を選択した場合はThank youページで口座番号と振込金額が表示される仕組みになっています。Stripeでの決済が完了すると、Hubspot内でステータスが「入金済み」に自動更新され、入金済みの参加者に自動メールが送信される仕組みも弊社の支援で実現しました。これにより、決済完了後のフォローアップにかかる工数の削減を実現しました。
Hubspotフォームのカスタマイズ
Hubspotのフォーム機能を活用しつつ、公益法人のオーディション要件に合わせたカスタマイズを実施しました。標準機能では対応が難しい要件については、当社の開発チームが柔軟に対応し、ニーズに沿った設計・実装を行いました。例えば、オーディション申し込みでは年齢、地域、部門、課題曲など複数の条件が絡むため、複雑な依存関係や条件分岐を設け、地域によって開催されない部門を自動制御する機能も導入しました。また、フォーム入力時には、ユーザーが複数画面を移動しているかのように見せ、スムーズに情報を入力できるよう工夫しました。
プロジェクトを進める中で、フォームの条件が非常に複雑で、同様の開発事例がなかったため、バグが多発するという困難がありました。オーディション日程が確定しており、期日内に問題を解決する必要がありましたが、公益法人の担当者と密に協力してテストを進め、幸いにもバグを解消することができました。
これにより、オンラインでの申し込みや決済が可能となり、手作業で行われていたアナログな決済プロセスが大幅に効率化されました。継続的なシステム更新とプログラム修正により、毎年更新されるオーディション情報を反映した運用が維持されています。
結果
効率化と会員体験の向上
このプロジェクトを通じて、業務効率化と会員の利便性向上が実現し、公益法人のデジタル基盤が大きく改善されました。
申し込みから決済までをオンラインで簡単に利用できるようにした結果、オーディションへの申込数も順調に増加しています。申し込みの利便性が大幅に向上したことが、その要因です。また、オンライン決済機能の導入により、運営側が手動で行っていた決済処理も減り、業務負担が大幅に軽減されました。
今では、毎年行われるオーディションに伴い、プログラムの更新やフォームの改修について、継続的なサポートを行っています。新しい課題曲や開催場所、スケジュール、そして申し込み金額の変更があるたびに、システムのプログラムを調整し、最新のニーズに対応した運用を行っています。また、支援を通じて、公益法人側で運用フローの大部分を対応できる体制が整い、さらなる業務の効率化が進んでいます。
今後は、HubSpotのさらなる活用も視野に入れています。新規会員の獲得や既存会員とのコミュニケーション施策の強化を目的に、限定コンテンツの提供やデータ活用など、新たな施策の導入を検討しながら、会員基盤の強化とデジタル化の推進に向けて、クリエイティブホープは引き続きご支援してまいります。
