ご紹介するクライアントは、途上国の開発支援を行う国際NGOです。
2023年から2024年にかけて、同団体のWebサイトを全面的にリニューアルし、寄付者増加と支援者の拡大を目指すプロジェクトを実施しました。
課題
Webサイトの機能面での課題と寄付獲得の阻害要因
リニューアル前のWebサイトには、問題点が大きく4つありました。
それぞれの問題が相互に影響し、ユーザー体験や寄付の獲得に悪影響を及ぼしていました。
問題点1 モバイル対応の不足
WebサイトがPCファーストで設計・作成されており、スマートフォンやタブレットでのアクセスに十分対応されていませんでした。
そのため、モバイルでWebサイトに訪れたユーザーにとって見づらく使いづらいWebサイトになってしまっており、直帰率が高い状態でした。
問題点2 SEO対策の不足と寄付導線の不明確さ
SEO対策が不十分で、検索エンジンからの流入が非常に少ない状態でした。
また、検索でユーザーが流入するページから寄付に関するページへの導線が明確でなく不十分だったため、ユーザーが寄付ページにたどり着かず、途中でWebサイトから離脱することが多いことも問題でした。
問題点3 表示速度の遅さ
サイトの読み込み速度が遅く、ページ表示に時間がかかる状況も課題でした。
不要なスクリプトや整理されていないCSSが原因で、これがユーザーの離脱を招く要因の一つとなっていました。
問題点4 運用の複雑さ
1つのWebサイトに対し、3つのCMS(WordPress)が用いられており、更新や運用が煩雑になっていました。
そのため、運用チームがシステムの複雑さが大きな負担になっており、スムーズな更新がしづらい状態でした。
これらの課題を踏まえ、Webサイトのユーザビリティを大幅に改善し、寄付導線の最適化を行うことが必要でした。特に、モバイルユーザーの体験を向上させ、サイト内での行動がスムーズに行える設計が求められていました。
解決策
寄付促進とブランド強化を実現するWebサイト
このようなクライアントからのご要望や、弊社の分析結果を踏まえ、Webサイトは寄付促進やブランディング面で効果を十分に発揮していなかったことが明らかになり、全面的なリニューアルをすることになりました。
1. ユーザーフローの策定
ユーザーがWebサイトを訪れてから寄付に至るまでの流れを明確にするため、ペルソナ設定およびカスタマージャーニーの策定を行い、その情報を基にユーザーとのコミュニケーションフローを見える化しました。これにより、ユーザーの検討度に応じた適切なコミュニケーションがプロジェクト内で可視化され、寄付への導線をシンプルかつ効果的になるような設計やマーケティング施策立案に活かされました。
2. レスポンシブデザインとスマホファーストUI
モバイルユーザーに対応するため、レスポンシブデザインを導入し、スマホファーストのUIに変更しました。これにより、スマートフォンからのアクセスでも快適に操作できる環境を整え、寄付アクションへのスムーズな流れを構築しました。
3. 情報設計と導線の最適化
訪問者が団体の活動に共感し、サイト内での回遊性が高まるよう、情報設計とサイト構造の見直しを行いました。活動内容が明確に表示され、寄付ページへスムーズに誘導する導線を整備することで、ユーザーが自然な流れで寄付アクションに移行できるよう設計しました。
4. アクセシビリティ対策
誰でも簡単に操作できるWebサイトを目指し、アクセシビリティに配慮したデザインで構築を行いました。これにより、多様なユーザーがアクセスしやすい環境を実現しました。
5. SEO強化施策とページ最適化
SEO強化を図るため、コンテンツの最適化と検索エンジンへの露出を向上させる施策を導入しました。記事内に自然に関連キーワードを取り入れ、検索結果での上位表示を目指しました。また、ユーザーの興味に合わせたコンテンツ設計により、ターゲットユーザーを効果的に集客することを可能にしました。
6. 分析レポーティングと運用体制の構築
定期的にデータ分析を行い、Webサイトのパフォーマンスを可視化するためのダッシュボードを構築しました。これにより、寄付アクションの動向をリアルタイムで確認し、最適な施策を迅速に実行できる運用体制を確立しました。
結果
寄付フォームへの遷移率2倍。今後のWebサイト施策成果にも期待
リニューアル後間もないものの、既に特定のページから寄付フォームへの遷移率が2倍になるという大きな改善が見られています。サイトに訪問したユーザーが、自然な流れで寄付アクションに移行できるようユーザーフローの策定を行ったことが成果に結びついたものと考えています。また、エリア統括から日本市場の特性を押さえたローカライズに対する満足の声をいただいています。
定期的なデータ分析を通じてWebサイトのパフォーマンスを評価し、さらなる改善を行う体制を整えています。今後、以下の効果が期待されています。
1. 寄付者数の増加
新しいユーザーフローにより、訪問者が寄付フォームに迷わず到達できるため、寄付者数の増加が見込まれます。特にスマートフォンからの寄付率の向上が期待されています。
2. ブランディングとユーザー共感の向上
カスタマージャーニーを最適化したことで、環境問題に関心を持つ訪問者が団体に共感しやすくなり、長期的な支援者の転換が促進されます。
3. ユーザー回遊率の向上
ユーザーフローの設計により、訪問者がサイト内のコンテンツに容易にアクセスできるようになり、回遊性が向上しました。これにより、訪問者が団体の活動や成果を深く理解し、寄付を決断しやすくなります。
今後も、団体は寄付増加と持続的な活動を目指し、さらなる施策を実施予定です。特に、遺贈やカスタマーサクセス、広告実施、データ活用などを通じて、新たな寄付者数の増加や既存支援者の寄付と信頼を獲得していくことが期待されています。日本社会の中でより信頼され、影響力のある団体としてブランドを強化することに貢献できるよう、今後も継続してご支援を行ってまいります。