広告効果を最大化する上では、広告のシナリオが重要な要素になります。そして、精度の高い広告シナリオを設計するためには、決められたステップを順番に進めていく必要があります。
本記事では、広告シナリオの重要性やよくある課題に加えて、具体的な設計方法を 4 ステップで解説します。この記事を読むことで、広告シナリオ作成時の具体的な流れを理解でき、自社の営業効率化や生産性向上を実現できます。
特に、
- B to B 領域のビジネスを展開している
- 広告施策の実施経験がある
- もう一歩踏み込んだ広告活用を実現したい
などに該当する方におすすめの内容となっています。
なお、この記事に掲載している内容は、 HubSpot のプラチナパートナーである弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つです。そのため、記事を読んだ後、すぐに行動に移せるような実践的なノウハウであり、リードの案件化数の増加にも繋がるため、ぜひ最後までご覧ください。
また、この記事で取り扱う広告は運用型広告を中心とし、紙媒体の広告や TV コマーシャルなどは考慮していません。また、シナリオに沿ったリードナーチャリングが可能な広告施策について記載しているため、この点はあらかじめご承知おきください。
広告のシナリオとは?
シナリオとは、「最終的な目標へ到達するために、どのようなアプローチによってゴールへ導いていくか」という筋道を意味する言葉です。例えば、目指すべきゴールが「商談化」の場合、商談を生み出すまでのプロセスを細かく設計し、その流れを整理したものが商談化に向けたシナリオになります。
そして、広告のシナリオとは、自社の広告を見た顧客がどのような動線を辿り、最終的なゴール(受注・商談化など)へ到達するのか、という一連のプロセスを事前に設計するものです。適切な広告シナリオを作成することで、広告効果の最大化や利益向上に繋がり、結果として自社のビジネスを成長させることができます。
なお、シナリオ設計には 3 つの観点があり、
- シチュエーションの想定(例:どのような場面でどんな人に送るのか)
- 届ける情報の洗い出し(例:どのようなコンテンツが望ましいのか)
- 顧客の反応に応じた条件(例:顧客行動に応じてどのような追加アプローチが適切か)
などが挙げられます。
これらの観点を踏まえて作業を進めることで、顧客目線に立った効果的な広告シナリオを作成可能になります。
広告のシナリオが求められる理由
スタートアップなど IT 化が進んだ企業の場合、 Slack や Facebook Messenger など、チャットツールを活用したコミュニケーションを実践している会社も珍しくありません。そのため、社員がメールの受信ボックスを開かないケースも増えており、従来のようなメルマガによるナーチャリングを実践することは困難になっています。
ただし、仮にメールを見ていなかったとしても、 web による情報検索は多くの人が行なっているため、広告を活用することで、それらのリードに対するナーチャリングを実施できます。特に web の場合、どのような経路を辿って広告へ辿り着いたのかを把握することも可能なため、顧客理解に繋がる点も大きなメリットだと言えます。
そして、広告の効果を最大化するためには、広告シナリオの設計が必要不可欠です。具体的な広告シナリオを事前に作成することで、顧客の具体的な動きを想定して広告を打つことができ、最終的なゴールへ効率的に導くことが可能になります。
このように、コミュニケーション手段が多様化し、 web 利用が普及した現代においては、広告シナリオの重要性は益々高まっていると言えるでしょう。
広告シナリオ作成時のよくある課題
次に、広告シナリオ作成時のよくある課題についてご紹介します。自社で実践する際に困ることがないよう、ぜひ参考までにご覧ください。
アクティブ率が低いために広告が配信されない
広告の配信対象として指定できるリードは、アクティブ化しているものだけに限定されることが一般的です。そのため、リードのアクティブ率が低すぎる場合、広告がほとんど配信されずに効果が薄れてしまうリスクがあります。このような場合は、広告シナリオを設計する前に、リードをアクティブ化するためのアクションを優先すべきだと言えるでしょう。なお、広告が配信できる最低リード数の目安は 1,000 件以上と言われています。
関連記事:アクティブ化が求められる理由とは?具体的な進め方を 3 ステップで解説!
広告予算を度外視してシナリオを組んでしまう
広告シナリオは広告効果を最大化するための重要な要素ですが、理想を追い続けて実現不可能なシナリオを組んでしまった場合、広告を適切に運用できなくなるリスクがあります。なぜなら、一般的な企業においては、広告出稿に使えるマーケティング予算があらかじめ決まっていることが多いからです。そのため、広告シナリオを検討する際には、広告予算の範囲内で考えるように意識してください。
顧客反応をモニタリングできるようにしていない
広告に対する顧客反応をモニタリングできるように設計しないことも、広告シナリオ作成時のよくある課題の一つです。この場合、広告ごとのクリック率などは把握可能ですが、広告の集合体であるシナリオ全体を評価することは困難になります。そのため、顧客反応ごとに積み上げ式でのスコアリング設定を行うなど、顧客反応を適切にモニタリングするための仕組みを構築することが大切です。
広告シナリオの設計方法
ここまで、広告のシナリオについて詳しく解説してきましたが、具体的にどのようにシナリオを設計すれば良いのでしょうか?本章では、広告シナリオの設計方法を 4 つのステップに分けてご説明します。
Step.1 シナリオの与件を言語化する
まずは、シナリオの与件を言語化することが広告シナリオ設計の第一歩です。
記事の冒頭でご説明した「シナリオ設計の 3 つの観点」を描くために、次の要素を整理してください。
- シナリオの目的
- シナリオのゴール
- 対象リスト
- 対象に求める最終的な行動
- 配信するコンテンツ類
なお、「シナリオの目的」と「シナリオのゴール」は混同しやすい言葉ですが、目的はゴール・目標を目指す理由のことであり、ゴールは現状の外に設定された最終的に望む結果を意味します。このように、両者は明確に異なるものとして区別されているため、それぞれの違いを理解しておきましょう。
Step.2 広告配信の条件を設定する
シナリオの与件を言語化した後は、広告配信の条件を設定します。例えば、顧客の属性(年齢・性別、居住地域など)や web の行動履歴などをもとに、具体的な条件を検討してください。
この時、「開封」ではなく「クリック」をベースとした、シンプルな条件分岐を設定することが大切です。なぜなら、受信箱に未開封メールを残したくないという理由で、とりあえず開封だけ行なっているユーザーが一定数存在しており、開封では信憑性の高いデータを取得することが困難だからです。
そのため、顧客のアクションとして適切に計測できる「クリック」を起点として、条件分岐や追加アプローチを検討することが重要なポイントになります。
Step.3 顧客反応をモニタリングするための設計を行う
広告配信の条件を設定したら、次は顧客反応をモニタリングするための設計を行います。前述した通り、広告シナリオ全体を客観的に評価するためには、顧客反応ごとに積み上げ式でのスコアリング設定を行うなど、事前に様々な工夫を施すことが大切です。広告運用の PDCA サイクルを回していくためにも、顧客反応のモニタリングは重要な要素の一つであるため、時間をかけて慎重に検討してください。
Step.4 顧客反応に対する追加アプローチを設計してゴールへ導く
顧客反応をモニタリングするための設計が完了した後は、顧客反応に合わせて実行すべき追加アプローチを検討します。例えば、配信したメールを顧客がクリックし、記事閲覧などを行なった場合、それは一定の興味関心を持っているサインになります。そのため、顧客の温度感が下がらないうちにアプローチを実施し、無料アカウントの開設促進や商談アポ設定などに迅速に繋げることが大切です。
このように、顧客がどのような反応を示した場合に、自社はどのようなアプローチを行うのか、という流れを設計し、目指すべきゴールまでの筋道を立てることが、広告効果を最大化するための重要なポイントになります。
代表的な広告配信の方法
最後に、代表的な広告配信の方法について解説します。具体的な内容を記載していますので、ぜひ自社で実践する際の参考にしてください。
リターゲティング(リマーケティング)を実践する
リターゲティングとは、過去に広告主の web サイトへ訪問したユーザーを対象として、広告掲載面に再度広告を表示させる手法のことです。具体的な運用例としては、シナリオに沿った LP を準備し、ページ訪問またはコンバージョンしたユーザーのリストを貯めることで、ナーチャリングを行うようなケースが該当します。
この時、
- 興味: web サイトにアクセスした
- 関心:セミナーに参加した
- 検討・比較:資料をダウンロードした
- 商談化:アポイントを獲得した
のように、コンバージョンの種類ごとに具体的な条件を設定することで、リターゲティングの精度を高めることができます。
ビジネスデータを広告媒体にインポートする
広告配信を行う際には、ビジネスデータを広告媒体へインポートすることも有効な手段の一つになります。
ビジネスデータの具体例としては、
- メールアドレス
- 電話番号
- 氏名
- 国名
- 郵便番号
- オフラインコンバージョン
- 顧客データを取得しているアプリデータを使用したモバイルデバイス ID
などが挙げられます。
これらのデータをインポートすれば、 Google 広告や Yahoo! 広告、 Meta 広告、 X (旧 Twitter )広告、 LINE 広告など、様々な広告媒体で活用することが可能になります。特に Meta や X (旧 Twitter )はビジネス利用に特化しているアカウントが存在するため、有効なマッチングが期待できるでしょう。
そして、シナリオ毎に定義した顧客リストを用意し、顧客に応じた広告クリエイティブを配信してください。メールと比較して、接触機会が多いことがメリットとして挙げられますが、コンバージョン時にフォーム入力を促進し、顧客を照合しなければいけない点には注意が必要です。
動画広告シーケンスを活用する
動画広告シーケンスとは、インプレッションなどの定義した順序に基づいて、一連の動画をユーザーに表示する動画広告です。動画クリエイティブを用意することが可能であり、潤沢な予算がある場合に推奨される広告配信の手法となっています。
動画広告シーケンスの具体例としては、サービスの使い方を HowTo 動画で顧客へ伝えて興味関心を高め、印象的な動画を繰り返しインプレッションさせることでサブリミナル効果を発生させ、商材・サービスの印象付けを行うようなケースが該当します。
今後、動画クリエイティブによる広告が主流になると予想されるため、動画広告シーケンスは有効な広告配信手法の一つであると言えるでしょう。
まとめ
本記事では、広告シナリオの重要性やよくある課題に加えて、具体的な設計方法を 4 ステップで解説しました。
広告シナリオを設計することで、 web 広告の効果を最大化でき、自社のビジネス成長に繋がります。この記事を読み返して、重要なポイントや具体的な設計方法を理解しておきましょう。
そして、広告シナリオを作成するためには、適切なステップを順番に進めていく必要がありますが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用することで、効率的に作業を進めることが可能です。
HubSpot とは、マーケティングを総合的に促進させる CRM プラットフォームであり、目的に応じて利用できる様々な機能が一気通貫で搭載されています。例えば、マーケティングや営業、コンテンツ管理、カスタマーサービスなど、 HubSpot がカバーしている領域は多岐にわたります。
関連記事:わかりやすい!HubSpotの料金体系をプランごとに徹底解説
HubSpot の活用例としては、 HubSpot CRM に登録されている顧客データに対して、シナリオに沿った Facebook 広告を配信するような使い方が考えられます。これにより、条件を満たしたリードに対して、自動的に次の広告を宛てられる点が大きなメリットとなっています。
このように、広告シナリオを作成する際には、 HubSpot が有効なツールの一つになると言えるでしょう。
なお、今回ご紹介した施策は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つになります。この他にも、様々な施策を用意しており、複合的に各種施策を実施することで、リードの案件化数を効率的に増加させることも可能です。
リードマネジメントに関してお困りごとがあれば、こちらの問い合わせフォームより、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、弊社クリエイティブホープは HubSpot のプラチナパートナーにも認定されているため、 HubSpot に関するご相談にも柔軟に対応できます。
関連記事:わかりやすい!Hubspot導入支援パートナーの役割と選び方を解説
「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。
本記事を参考にして、広告シナリオの設計および HubSpot の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
HubSpotの活用や、デジタルマーケティング、データ分析・基盤構築に関するeBook の数多くご用意しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。