一定量のリードを生み出せているものの、リードの質が悪くて改善を求められていたり、質の高いリードの見極めについて試行錯誤している方は多いのではないでしょうか?
弊社クリエイティブホープへのご相談でも、
- リードの質が悪くて困っている
- 質の高いリードの見極め方がわからない
- リードをリスト化しても社内で活用されない
などの内容が多く寄せられています。
このような場合、顧客のタイミングキャッチが有効な手段になると言えるでしょう。顧客のタイミングキャッチについて理解することで、リードの質を適正に判断し、自社の営業活動を効率化することが可能になります。
本記事では、顧客のタイミングキャッチの概要や種類に加えて、顧客のタイミングキャッチを考える上で重要な要素である「属性トリガー」のメリットや設計方法などを一挙に解説します。
なお、この記事に掲載している内容は、 HubSpot の認定パートナーである弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つです。そのため、記事を読んだ後、すぐに行動に移せるような実践的なノウハウであり、リードの案件化数の増加にも繋がるため、ぜひ最後までご覧ください。
顧客のタイミングキャッチとは?
まずは、顧客のタイミングキャッチについて理解しておきましょう。
顧客のタイミングキャッチとは、商談化・受注可能性の高い顧客を検知し、より質の高いリードとして次プロセスへ渡すことを意味する言葉です。企業が保有するリード数は膨大であるため、受注確度に応じて優先順位を付けて、注力すべきリードにリソースを集中させることが、組織全体の生産性向上に繋がります。
そして、質の高いリードを見極める上で、顧客のタイミングキャッチが有効な手法になります。なお、詳しくは次章でご説明しますが、顧客のタイミングキャッチは「スコアリング」と「行動・属性トリガー」の 2 つに分類でき、それぞれ異なる指標をもとにリードの判定を行います。
顧客のタイミングキャッチの種類
顧客のタイミングキャッチは、
- スコアリング
- 行動・属性トリガー
の 2 種類に分けられます。
以下、それぞれの手法について詳しく見ていきましょう。
スコアリング
スコアリングとは、リードの属性情報や Web の行動情報をもとにリードを点数化し、スコアが一定水準に達したものを受注確度が高いリードとして判定する手法です。デジタルで点数化されるため、リードの状況を直感的に把握しやすい点がメリットですが、検知までの時間軸が長く、難易度が高い点はデメリットだと言えるでしょう。
なお、スコアリングのやり方は多岐にわたり、顧客属性(性別、年齢、居住地域など)をもとに点数を付ける属性スコアリングと、顧客行動(メール開封、資料ダウンロードなど)をもとに点数を付ける行動スコアリングなどが、スコアリング手法の代表例となっています。
行動・属性トリガー
行動・属性トリガーとは、 ある特定の行動や属性情報をトリガーとして設定し、その条件に該当したものを受注確度が高いリードとして判定する手法です。行動・属性トリガーは、条件に当てはまったものを即時通知することが一般的であるため、スコアリングと比較して検知までの時間を短縮できます。
行動・属性トリガーの代表例としては、
- メールシナリオトリガー
- Web 行動トリガー
- 属性トリガー
などが挙げられますが、今回はこの中で「属性トリガー」に焦点を当ててご説明します。
属性トリガーとは、フォームなどを利用して顧客情報を集める際に、そのリードの質を測るための必要情報を収集し、その情報をもとに即時トスアップを実施する手法です。これにより、入力情報をもとにリードの質を即座に判断し、顧客のタイミングキャッチを迅速に実行することができます。
次章以降では、属性トリガーについて詳しく解説します。
属性トリガーを活用するメリット
属性トリガーを活用することで、具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか?本章では、属性トリガーを活用するメリットを 3 つご紹介します。
PDCA をまわす回数が増える
スコアリングは、様々な顧客行動や顧客属性をもとに点数付けを行うため、リード判定に影響を与える要素が多くなります。そのため、 PDCA を回すためには、スコアリングの閾値を変動させたり、各行動の評価・点数の重み付けを見直したりすることが必要になります。
一方、属性トリガーは「フォーム上で収集できた顧客属性がトリガーとして適切なのか」という、シンプルな考え方で設計されています。そのため、 PDCA サイクルを回すことが容易であり、様々なパターンで何度も試せるため、運用改善に向けたアクションを検討しやすくなります。
顧客状況を把握した上でコンタクトが取れる
Web 行動も顧客の興味関心を示すためのトリガーになり得ますが、特別な理由なしに何となく Web サイトを訪問しただけだったりするなど、顧客の心情や深層心理までは考慮することができません。そのため、 Web 行動と受注確度が適切に結び付かないケースも存在します。
一方、属性情報は心情などが排除された客観的な情報であるため、事実に基づいたコミュニケーション設計を行うことが可能になります。また、スコアリングとは異なり、トスアップされた理由が明確化されているため、すぐに架電に向けたアクションを実行できる点も大きなメリットだと言えるでしょう。
他のトリガーと組み合わせることでコミュニケーションの質を高められる
メールシナリオトリガーや Web 行動トリガーでも、フォームによる情報収集は可能です。そして、この時に取得した「 Web 上の行動」と「属性トリガーの属性情報」を組み合わせることで、ターゲットとなる顧客像が具体化されます。その結果、顧客が求めるコミュニケーションを設計しやすくなり、商談化率・受注率に向上に繋がります。
属性トリガー活用時に陥りがちな課題
次に、属性トリガー活用する際に陥りがちな課題についてご紹介します。自社で実践する際に困ることがないよう、ぜひ参考までにご覧ください。
不必要な情報まで取得してしまう
属性トリガーを活用する際に「あれもこれも」と様々な情報を取得してしまうケースは珍しくありません。しかし、用途を決めていない状態で多くの情報を集めたとしても、それらを有効活用することは困難です。また、顧客目線では「こんな情報まで必要なの?」と不信感を与えてしまうリスクもあるため、属性トリガーを設計する際は、必要最小限の情報に絞ることが大切です。
すべての情報を一度に取得してしまう
必要最小限の項目を定義できたとしても、それらの情報を初回のフォームで全て取り切ろうとする場合、フォームの入力項目数によっては、コンバージョン率に大きく影響します。なぜなら、フォームを開いた瞬間に膨大な設問が出てきたら、その時点で一定数の顧客は離脱するからです。そのため、すべての情報を一度に取得するのではなく、フォームを数回に分けて段階的に情報を取得するなど、事前に全体設計を工夫することが重要なポイントになります。
現場の意見を聞かずに設計してしまう
トリガー設定を行う際、営業企画チームやマーケティングチームが主体となって進めるケースが一般的ですが、この時に現場の意見を聞かずに設計してしまうことも代表的な課題の一つです。顧客に対する聞き方や選択肢に関しては「日々現場でどのような聞き方や返答パターンがあるのか」を考慮して設計する必要があるため、営業現場の意見を取り入れながら、属性トリガーを検討すべきだと言えるでしょう。
オペレーション設計が不十分でリストとして活用されない
属性トリガーを設計して対象顧客をリスト化した場合でも、オペレーション設計が不十分であれば営業活動を効率化することはできません。特に、企画部門・マーケティング部門が縦割りの仕事を行なっており、「リストは作るけどその後は営業部門で考えて」のような、セクショナリズムが発生している組織が陥りやすい傾向にあります。この状態では、せっかく作成したリストを有効活用することは難しいため、属性トリガーを考える際は、オペレーションまで含めた全体設計を行うことが重要なポイントです。
属性トリガーの設計方法を5ステップで解説
ここまで、属性トリガーについて詳しく解説してきましたが、具体的にどのように進めれば良いのでしょうか?本章では、属性トリガーの設計方法を 5 つのステップに分けてご説明します。
Step.1 属性情報に関する仮説を立てる
まずは、属性情報に関する仮説を立てることが属性トリガー設計の第一歩です。狙うべきターゲットやペルソナを明確化した上で、どのような課題・お困りごとを抱える顧客が属性トリガーとして適しているのかを検討してください。
そして、顧客像のイメージが具体化した後は、
- 収集すべき項目
- その項目の入力形式
- リードの質を判断するための基準
などを仮説ベースでまとめて、現場へのヒアリングに向けたシートを作成しましょう。
Step.2 仮説に対するインサイドセールスの意見を聞く
属性情報に関する仮説を立てた後は、インサイドセールスや営業部門の意見を聞いてください。
例えば、
- その項目を見込み顧客から取得することは有用か
- どんな形式で顧客に入力させるとよいか
- どんな情報があると見込みが高い(または低い)と判断できるか
などを確認すると良いでしょう。
そして、現場の意見を集めたら、それらを整理して資料にまとめた上で、改めてインサイドセールスや営業部門と会話する場を設けてください。ここで現場との合意形成を丁寧に行うことで、施策実行後の全体プロセスが円滑に進むようになります。
Step.3 属性トリガーから営業へ繋げるプロセスを設計する
インサイドセールスの意見を反映したら、次は属性トリガーから営業へ繋げるための具体的なプロセス設計に移ります。
プロセス設計を検討する際には、
- 判定
- リスト化
- 通知
- アクション
- 評価
の 5 項目をベースに考えることをおすすめします。
最初の「判定」では、どの項目のどのような入力情報をトリガーに設定するのかを定義し、「リスト化」で属性トリガーに該当するリードを蓄積するためのリストを作成します。そして、「通知」では、インサイドセールスや営業へ通知するためのワークフローを設計します。代表的な例としては、メールや SMS 、アプリ、担当割り当てなどが挙げられますが、営業への不要な通知を排除するためにも、担当割り当てを選択すると良いでしょう。
次に、「アクション」で通知が届いた後の営業の具体的な行動を設計します。例えば、リスト閲覧や顧客情報の調査、トークスクリプトの確認など、一連の営業アクションを網羅的に設計してください。最後に、「評価」で顧客に対するアクション結果を入力するための仕組みを作ります。営業が入力するアクション結果は、今後 PDCA をまわすための貴重な情報になるため、情報入力のルールや粒度などを細かく定めておくことが大切です。
Step.4 トーク内容を設計する
属性トリガーから営業へ繋げるプロセスを設計した後は、トーク内容の設計を行います。できれば、営業がスムーズに架電を行えるよう、汎用的なトークスクリプトを準備しておくことをおすすめします。また、トリガーとするフォーム入力情報によってトーク内容は変わるため、基本的には「トリガー単位」でスクリプトを作成すべきだと言えます。
トークのストーリー構成としては、
- リードトーク
- 電話のきっかけ
- 課題仮説との紐付け
- クロージング
という流れが一般的です。この内容を参考にして、ベースとなるトークスクリプトを準備しておきましょう。
Step.5 モニタリング方法を設計する
トーク内容を決めたら、最後にモニタリング方法の設計を行います。この時、定量・定性の 2 つの側面から評価できる仕組みを構築してください。
定量面では、当該リストからどのくらい商談化・受注したのかなどを数字で評価します。そして、定性面では、営業担当者目線でのリストの活用実感や効果実感などを評価します。場合によっては、架電担当者へ直接ヒアリングすることも、有効な評価を行うためには有効だと言えるでしょう。
これらの 5 つのステップを順番に進めることで、適切な属性トリガーを設定することができます。ぜひ、自社で実践する際の参考にしてください。
属性トリガー設計に役立つ HubSpot の機能
ここまで、属性トリガーについて詳しく解説しましたが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用すれば、属性トリガー設計を効率的に行うことができます。
HubSpot とは、マーケティングを総合的に促進させる CRM プラットフォームであり、目的に応じて利用できる様々な機能が一気通貫で搭載されています。例えば、マーケティングや営業、コンテンツ管理、カスタマーサービスなど、 HubSpot がカバーしている領域は多岐にわたります。
関連記事:わかりやすい!HubSpotの料金体系をプランごとに徹底解説
最後に、属性トリガー設計に役立つ HubSpot の機能をいくつかピックアップしてご紹介します。
フォーム機能
HubSpot では、顧客情報を収集するためのフォームを直感的な操作で簡単に作成できます。複数チェックボックスやラジオボタン選択、ドロップダウン選択など、様々な形式で設問を作れるため、内容に応じて柔軟に使い分けることが可能です。また、フォームの回答結果はシステムに自動的に蓄積され、 Hubspot 上で確認できる点も嬉しいポイントです。
動的リスト機能
動的リストとは、自動的に更新されるリストのことです。顧客(リード)が特定の条件を満たすとリストに自動的に追加され、条件から外れた場合はリストから自動削除されます。これにより、ターゲットリストを常に最新の状態に保ち、属性トリガーの活用を強く推進することが可能になります。
ワークフロー機能
ワークフロー機能とは、ビジネスプロセスを自動化し、チーム効率を高めることができる機能です。例えば、コンタクトや会社、取引、見積もり、などに関するレコード登録やアクション実行を自動化したり、登録済みのコンタクトに関連付けられた会社情報を自動更新したりするなど、あらゆる面から自社の業務効率化や生産性向上に寄与します。
コンタクト情報のメモタブ・コールタブ機能
コンタクト情報のメモタブ・コールタブ機能とは、顧客のコンタクト情報に簡易的なメモを残すことができる機能です。これにより、顧客に対する架電結果やアプローチ内容などを情報として残し、今後の営業活動に活用することが可能になります。
プログレッシブフィールド機能
プログレッシブフィールド機能とは、フォームをスマート化して効率化するための機能です。フォーム内に顧客が過去に入力した項目が存在する場合、別の入力項目を表示させることが可能なため、顧客目線では同じ内容を何度も入力する必要がなくなりますし、自社目線ではより多くの情報を取得できるようになります。
プレイブック機能
プレイブック機能とは、競合他社の情報やコールスクリプト、自社のポジショニングに役立つガイドなど、営業力を高めるための様々なコンテンツを HubSpot 内で共有できる機能です。プレイブックは、主に営業が利用することが多い機能ですが、トークやヒアリングの標準化がしやすく、入力情報はプロパティに格納することも可能なため、属性トリガー設計にも有効に使うことができます。
まとめ
本記事では、顧客のタイミングキャッチの概要や種類に加えて、顧客のタイミングキャッチを考える上で重要な要素である「属性トリガー」のメリットや設計方法などを一挙に解説しました。
顧客のタイミングキャッチを実践することで、質の高いリードを見極めて、組織全体の生産性向上を実現できます。そして、顧客のタイミングキャッチを行うためには、属性トリガーが重要な要素の一つになるため、この記事を読み返して、重要なポイントや具体的な設計方法を理解しておきましょう。
そして、属性トリガーを設計するためには、適切なステップを順番に進めていく必要がありますが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用すれば、効率的に属性トリガーを設計することが可能になります。
例えば、 HubSpot のフォーム機能を使えば、顧客情報を収集するためのフォームを簡単に作成できますし、動的リスト機能でターゲットリストを自動的に最新情報に更新することも可能です。さらに、プログレッシブフィールド機能やプレイブック機能など、自社の生産性向上を実現するための様々な機能が搭載されています。
このように、 HubSpot を活用することで、属性トリガー設計を円滑かつ迅速に実行できるようになり、自社の業務効率化に繋がります。属性トリガーを設計する際には、 HubSpot が有効なツールの一つになると言えるでしょう。
なお、今回ご紹介した施策は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つになります。この他にも、様々な施策を用意しており、複合的に各種施策を実施することで、リードの案件化数を効率的に増加させることも可能です。
リードマネジメントに関してお困りごとがあれば、こちらの問い合わせフォームより、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、弊社クリエイティブホープは HubSpot のプラチナパートナーにも認定されているため、 HubSpot に関するご相談にも柔軟に対応できます。
関連記事:わかりやすい!Hubspot導入支援パートナーの役割と選び方を解説
「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。
本記事を参考にして、属性トリガーを活用した顧客のタイミングキャッチの実践、および HubSpot の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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