BigQuery というサービスをご存知でしょうか? Google が提供しているデータウェアハウスであり、データの保管から分析まで、データに関する作業を一気通貫で行うことができます。
本記事では、 BigQuery の概要やメリット、料金体系、活用事例まで、あらゆる観点から一挙にご紹介します。 BigQuery について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
BigQuery とは?
まずは、 BigQuery の概要を理解しておきましょう。
BigQuery は Google が提供するパブリッククラウド「 Google Cloud 」に内包されているサービスであり、データウェアハウスの一種です。高速データ処理や使いやすいインターフェースなどが大きな特徴であり、世界中で多くのユーザーに利用されています。
なお、データウェアハウスとは、膨大なデータを保管しておくためのシステムを意味する言葉であり、英語表記の「 Data Ware House 」を略して DWH と呼ばれることもあります(以降、データウェアハウスを「 DWH 」と記載)。 DWH は「データの倉庫」と表現されることが多く、膨大かつ多様なデータを格納するための場所として利用されます。
そして、 BigQuery はデータを保管するだけではなく、それらを分析するための機能も搭載されています。 BigQuery で管理しているデータをそのまま分析できるため、 BigQuery 上で一元的に作業を進めることが可能です。
このように、 BigQuery はデータの保管・分析を行う上で、有効なサービスの一つであると言えるでしょう。
関連記事:データレイク・データウェアハウス・データマートの特徴と違いとは?
BigQuery 導入のメリット
企業が BigQuery を導入することで、具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか? BigQuery には様々なメリットが存在しますが、今回は特に注目すべき 4 つのポイントについてご紹介します。
高速なデータ処理
BigQuery の一番のメリットとして、高速なデータ処理が挙げられます。一般的なデータ分析ツールの場合、データ容量がギガバイトを超えると動きが重くなります。しかし、 BigQuery はペタバイト級のデータに対しても高速処理が可能であり、分析結果を即座に返してくれます。データ分析の速度は意思決定のスピードに直結するため、この点は BigQuery の大きなメリットだと言えるでしょう。
サーバーレスで非エンジニアでも使用可能
BigQuery は 100% クラウドで提供されており、サーバーレスで運用が可能なため、面倒なサーバーの設定作業や保守が不要になります。そのため、 IT リテラシーが高くない非エンジニアでもすぐに使える点がメリットの一つです。さらに、データベースの専門知識がなくても、 BigQuery は直感的に操作できるように設計されているため、初心者でも安心して利用可能です。
Google サービスとのスムーズな連携
BigQuery は Google Cloud に内包されているサービスであり、他の Google サービスとスムーズに連携させることが可能です。例えば、 Google スプレッドシートのデータを BigQuery にインポートして分析したり、 BigQuery の分析結果を Looker Studio で分かりやすく見える化したりするような使い方が考えられます。このように、様々な Google サービスと連携させることで、 BigQuery の導入効果を最大化でき、自社のビジネス成長を実現できます。
リーズナブルな料金設定
IT ツールを選定する上では、利用料金が重要な判断基準の一つになります。 BigQuery は高機能なサービスであるため、料金も高いと思われるかもしれませんが、実は「 1 テラバイトあたり約 500 円」とリーズナブルな料金設定になっています。また、分析作業を始める前にデータ量を確認でき、あらかじめ発生する料金の目安を把握可能なため、安心してサービスを利用できます。このように、 BigQuery は非常にコストパフォーマンスの高いサービスであると言えるでしょう。
BigQuery が超高速なデータ処理ができる仕組み
BigQuery は超高速なデータ処理が大きな特徴であることを前述しました。本章では、その仕組みについて「カラム型データストア」と「ツリーアーキテクチャ」の 2 つの観点からご説明します。
カラム型データストア
カラム型データストアとは、データベースの列方向の処理に特化した仕組みのことです。他の列へアクセスする必要がないため、高速な集計・分析が可能になります。元々、 BigQuery はビッグデータを扱うことを前提として設計されたサービスであるため、効率的にデータを処理できるカラム型データストアの形式を採用しており、その結果として超高速なデータ処理を実現しています。
ツリーアーキテクチャ
ツリーアーキテクチャとは、クエリの指示が複数サーバーへツリー状に広がり、それぞれのサーバーで並列的かつ同時に分散処理を行う構造のことです。 BigQuery はこのツリーアーキテクチャを採用しており、分散並列処理を実行できるため、大容量データに対しても高速な処理が可能になります。
BigQuery でできること
ここまで、 BigQuery について詳しく解説してきましたが、 BigQuery を導入することで、具体的にどのようなことを実現できるのでしょうか?本章では、 BigQuery でできることを 2 つに分けてご説明します。
データの分析
BigQuery はデータ分析に長けたサービスであり、テラバイト級のデータを数秒から数十秒という短い時間で処理できます。また、ブラウザ上で SQL のクエリを直接記述することで、簡単にデータ分析を実行できるため、とても使いやすいサービスであると言えるでしょう。
また、 BigQuery には、
- クエリ履歴
- ジョブ履歴
- スケジュールされたクエリ
など、便利な機能が多数搭載されており、これらを利用することで効率的に分析作業を進めることが可能です。
例えば、クエリ履歴を使うことで、過去に実行したクエリ内容を確認し、すぐに再利用できます。さらに、スケジュールされたクエリを活用すれば、クエリ実行を任意の日時に予約することも可能です。
データの保管
BigQuery はデータを分析するだけではなく、データを保管する場所として利用することも可能です。
通常のデータ分析では、特定の場所に保管しているデータを抽出し、別のデータ分析ツールに取り込んで分析作業を行うことが一般的です。しかし、 BigQuery は保管されているデータを BigQuery 上でそのまま分析できるため、一連のプロセスを一気通貫で実行することが可能です。
また、 BigQuery は Google スプレッドシートや CSV ファイルのインポート・エクスポートを行うこともできます。そのため、ローカル環境に保存されているデータを BigQuery と連携させることも容易であり、様々なシーンに対応できる点も BigQuery の大きな魅力の一つであると言えるでしょう。
BigQuery の料金体系
次に、 BigQuery の料金体系についてご説明します。
通常のクラウド型データベースは、利用時間に応じて課金が発生することが多いですが、 BigQuery はスキャンしたデータ量に応じて課金が発生するなど、クエリに特化した独特な料金体系となっています。また、ストレージの利用料金に関しては、時間単位で発生する金額が定められていますが、そこまで大きな金額ではないため、扱うデータ量が料金を決定する重要な要素になります。
以下、東京リージョン( asia-northeast1 )の各種料金を表にまとめます。(※ 2023 年 12 月 3 日時点の料金)
オペレーション | 料金 | 備考 |
---|---|---|
クエリ(オンデマンド) | 6.00 米ドル / TB | 毎月 1 TB まで無料 |
アクティブストレージ | 0.023 米ドル / GB | 毎月 10 GB まで無料 |
長期保存 | 0.016 米ドル / GB | 毎月 10 GB まで無料 |
ストリーミング挿入 | 0.012 米ドル / 200 MB | 挿入成功した行が課金対象 |
BigQuery Storage Write API | 0.03 米ドル / GB | 毎月最初の 2 TB まで無料 |
ストリーミング読み取り | 1.32 米ドル / TB | 毎月 300 TB まで無料 |
オペレーション | 料金 | 備考 |
---|---|---|
クエリ(オンデマンド) | 6.00 米ドル / TB | 毎月 1 TB まで無料 |
アクティブストレージ | 0.023 米ドル / GB | 毎月 10 GB まで無料 |
長期保存 | 0.016 米ドル / GB | 毎月 10 GB まで無料 |
ストリーミング挿入 | 0.012 米ドル / 200 MB | 挿入成功した行が課金対象 |
BigQuery Storage Write API | 0.03 米ドル / GB | 毎月最初の 2 TB まで無料 |
ストリーミング読み取り | 1.32 米ドル / TB | 毎月 300 TB まで無料 |
参照:BigQuery の料金
このように、 BigQuery はオペレーションごとに具体的な料金が設定されています。一定の容量までは無料で使える機能も多いため、使い方を工夫することで発生する料金を低減できる点も、 BigQuery が人気を集めている理由の一つであると言えるでしょう。
BigQuery の活用事例
最後に、 BigQuery の活用事例をご紹介します。
とあるアパレル企業では、自社のデータが複数システムに点在しており、必要なデータを即座に収集できない点が大きな課題となっていました。また、社内に本格的なデータベースが存在しておらず、データ分析を効率的に進められないことも、担当者の頭を悩ませる要因の一つでした。
そこで、 Google Cloud および BigQuery を導入し、効率的なデータ分析を実現するための環境構築に乗り出したのです。 BigQuery の導入により、従来は 1 ヶ月かかっていたデータ分析の準備作業を僅か 1 週間に短縮でき、大幅な生産性向上に繋がりました。
また、 BigQuery はフルマネージドで提供されているサービスであるため、自社の運用・保守にかかるリソースを節約でき、社員の作業負荷低減にも成功しました。今後は AI (人工知能)や ML (機械学習)の活用も視野に入れており、顧客満足度のさらなる向上に向けて、 BigQuery の活用を継続しています。
このように、効率的なデータ分析を行うための環境を BigQuery で構築し、自社の業務効率化や生産性向上を実現した好事例となっています。
まとめ
本記事では、 BigQuery の概要やメリット、料金体系、活用事例まで、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。
企業が BigQuery を導入することで、高速データ処理や Google サービスとの連携など、様々なメリットを享受できます。データを適切に保管し、スムーズなデータ分析を実現する上では、 BigQuery が有効なサービスになると言えるでしょう。
ただし、 BigQuery はクエリに特化した独特な料金体系を採用しています。利用料金が想定外の金額にならないよう、この記事を読み返して重要なポイントを理解しておいてください。
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強引やしつこいセールスは一切ございませんので、ご安心ください。
本記事を参考にして、 BigQuery の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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