昨今、データ活用の重要性が強く叫ばれていますが、自社のデータを効果的に活用するためには、膨大なデータを適切に管理する必要があります。そして、データ管理を行う上ではデータ基盤がとても有効なツールになります。
本記事では、データ基盤とは何か?を解説し、データ基盤構築のメリットや具体的な構築手順を 5Step でご紹介します。自社でデータ活用・データ管理を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
データ基盤とは?
データ基盤とは、組織や企業がデータを収集・管理・分析するためのシステム群を意味する言葉です。
近年、デジタル技術の発展に伴い、企業が保有するデータ量は増加し、その種類も多様化しています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、消費者ニーズは大きく変化しました。
常に変化するビジネス市場を生き抜くためには、自社が保有するデータを適切に管理し、それらを分析・活用することで適切なアクションに繋げる必要があります。これを実現する上でデータ基盤はとても有効なツールであり、多くの企業がデータ基盤を利用して自社のデータを管理・活用しています。
データ基盤は「オンプレミス」と「クラウド」の 2 種類に分けられます。オンプレミスとは自社内にサーバーを設置して運用する形態であり、クラウドとは他社リソースを活用してサービスなどを利用する形態です。
オンプレミスはカスタマイズが容易な点はメリットだと言えますが、初期費用が高額になったり、運用・保守のコストが発生したりするなどのデメリットが存在します。一方、クラウドは初期費用が発生せず、運用・保守の工数もオンプレミスと比較して小さいですが、細かい部分のカスタマイズはできません。
このように、オンプレミスとクラウドはそれぞれ異なる特徴を持っているため、自社の状況に合わせて最適なものを選ぶことが重要になります。
データ基盤の構造と 4 つの役割
一般的なデータ基盤は 3 層構造となっており、
- データレイク
- データウェアハウス
- データマート
の流れで構成されています。
データレイクは「データの湖」と表現されることもあり、膨大なデータを一元的に蓄積・保存するための場所です。次に、これらのデータをデータウェアハウスに移して整理した状態で保管します。
最後に、データマートで大量のデータを加工し、分析作業などを効率的に行えるように準備します。そして、実際にデータ分析を行う際は、このデータマートから必要な情報を取得します。
このように、データ基盤は 3 つの層から構成されていることを覚えておきましょう。
それでは、次にデータ基盤の 4 つの役割をご説明します。以下、データ基盤の全体像を図解したものです。
1.データの収集
データの収集はデータ基盤の重要な役割の一つです。データを有効活用するためには、自社に点在する様々なデータを集めなければいけません。
複数のシステムを導入している場合は、それぞれのシステムからデータを収集する必要がありますし、場合によってはインターネット上の情報を取得するケースもあります。データ基盤を活用することで、これらのデータを効率的に集めることが可能になります。
2.データの蓄積
データを収集した後は、それらをデータ基盤に蓄積します。この時、データレイクを活用することで、構造化データ・非構造化データともに一元的な蓄積が可能になります。
なお、構造化データとは、行や列を持ちそれぞれが関係性を持っている「整理されたデータ」のことであり、非構造化データとは行や列を持たずにデータ間の関係性を持たない「整理されていないデータ」のことです。
3.データの加工
効率的なデータ分析を行うためには、その基となるデータを分析しやすい状態に加工する必要があります。具体的には、データウェアハウスで保管しているデータをデータマートで加工し、データ分析の事前準備を行います。
データが綺麗に整理されていない場合、データ分析の精度は低くなります。そのため、データの加工もデータ基盤の重要な役割の一つだといえるでしょう。
4.データの分析
データ分析はデータ活用の鍵を握る重要なプロセスです。そして、効率的なデータ分析を行うこともデータ基盤の役割の一つとなっています。
データ分析はデータ活用の鍵を握る重要なプロセスです。そして、効率的なデータ分析を行うこともデータ基盤の役割の一つとなっています。
Excel などのソフトウェアを使ってデータを分析することも可能ですが、すべての操作を手動で行う必要があり、多くの手間と時間が発生します。しかし、データ基盤を活用することで、これらの作業を効率化でき、自社の生産性向上に繋がります。
データ基盤構築のメリット
データ基盤を構築することで、企業は様々なメリットを享受できます。代表的なものをいくつかご紹介します。
属人化を回避できる
データ基盤を構築することで、業務の属人化を回避できます。例えば、 Excel で作業を進めている場合は特定の人間のローカル環境にのみファイルが存在し、他の人は開くことができません。
しかし、データ基盤を構築すれば、全員が同じ環境にアクセスすることができ、組織として効率的に作業を進めることが可能になります。結果として、自社の業務効率化や生産性向上に繋がるでしょう。
自社のデータを安全な環境で一元管理できる
データ基盤で取り扱うデータの中には、社外秘情報や顧客情報などの機密データも含まれています。万が一、これらのデータが外部流出した場合は、取り返しの付かない事態に発展するリスクがあります。
その点、データ基盤は堅牢なセキュリティで自社のデータを守ってくれるため、安全な環境で機密情報を管理・活用することができます。この点もデータ基盤構築の大きなメリットだといえるでしょう。
データの収集から分析まで一気通貫で実行できる
データ基盤はデータの収集から分析まで、すべてのプロセスを一気通貫で実行することができます。これにより、自社のデータ活用を迅速化でき、大幅な生産性向上に繋がります。
昨今、ビジネス市場や顧客ニーズは絶えず変化しています。このような状況下において、増え続ける膨大なデータを一元的に管理し、加工・分析までを一貫して行える点はデータ基盤の大きな魅力となっています。
迅速な意思決定を実現できる
データ基盤では、データ処理のプロセスを一貫して作業できるため、データの収集から活用までのリードタイムを大幅に短縮できます。これにより、データに基づいた迅速な意思決定を実現することが可能になります。
昨今、企業におけるデータ活用の重要性は益々高まっており、多くの企業がデータドリブン経営の実現に向けて舵を切っています。変化の激しい現代を乗り越えるためには、データ基盤がとても有効なツールになるといえるでしょう。
関連記事:データドリブン経営とは?具体的な実現方法を 5Step でご紹介!
データ基盤を構築するための 5Step
データ基盤を構築するためには、
- Step.1 目的の明確化
- Step.2 スケジュールの決定
- Step.3 データ基盤の設計
- Step.4 データ基盤の開発
- Step.5 データ基盤の運用・改善
の 5 つのステップを順番に進める必要があります。それぞれのプロセスについて、詳しく見ていきましょう。
Step.1 目的の明確化
まずは、データ基盤構築の目的を明確化してください。目的が定まっていない場合、せっかくデータ基盤を構築したとしても、有効活用することはできません。
また、目的を定めることで、どのようなデータをどのように分析すべきか?というポイントが見えてきます。最初の目的設定がデータ基盤構築の精度に大きな影響を与えるため、慎重に検討を進めてください。
Step.2 スケジュールの決定
目的を明確化したら、次は具体的なスケジュールを決定します。ゴールから逆算して「いつまでに何をしなければいけないのか?」を細かく検討してください。
この時、スケジュールだけではなく、その作業を誰が担当するのか?まで決めておくことで、より具体的な計画を立てることができます。各部署の稼働状況やリソースをヒアリングしながら、無理のないスケジュールを立てることが重要なポイントです。
Step.3 データ基盤の設計
スケジュールが完成した後は、いよいよデータ基盤の設計に入ります。自社の目的や取り扱うデータの量・種類などを加味しながら、適切なデータ基盤を設計してください。
前述した通り、データ基盤は主に「データレイク」「データウェアハウス」「データマート」の 3 層構造となっているため、この基本構造をベースとして検討を進めることで、設計作業を円滑に行うことが可能になります。
Step.4 データ基盤の開発
データ基盤を設計したら、その内容に沿って開発を行います。ただし、開発作業がすべてスムーズに進むことは稀であり、多くの場合は予期せぬアクシデントが発生することが一般的です。
そのため、テスト環境での動作確認やバグ出しなどを細かく実施しながら開発を進めてください。なお、 IT 人材やエンジニアが不足している場合には、外部ベンダーなどに作業を委託することも一つの選択肢になります。
Step.5 データ基盤の運用・改善
データ基盤を開発した後は、本番環境での運用を開始します。実際にデータ基盤を使い、自社の生産性向上に向けて活用してください。
ここで大切なことは「データ基盤は継続的な改善・改良が求められる」という点です。データは常に変化し続けるため、データ基盤も定期的に見直しを行い、 PDCA サイクルを回すことが重要なポイントです。
データ基盤構築を成功させるためのポイント
最後に、データ基盤構築を成功させるためのポイントをご説明します。
全社的に取り組む
データ基盤構築を成功させるためのポイントとして、全社的に取り組むことが挙げられます。膨大なデータを取り扱うデータ基盤を構築するためには、社内の協力体制が必要不可欠になります。
データ基盤構築は様々なステップを順番に進める必要があり、すべての作業を 1 人で完結することは困難です。また、全社的に取り組み、経営層からの合意を取得しておけば、 IT ツールの予算を確保しやすくなるため、スムーズにアクションを進めることが可能になります。
データの質を高める
データの質はデータ基盤構築の成否を分ける重要な要素です。自社のデータが整理されていない場合、必要な情報を適切なタイミングで取得することができず、高精度なデータ基盤を構築することは難しくなります。
そのため、データ基盤構築に着手する前にデータの質を高めるための工夫を実践してください。データの質を高めるためには、データアセスメント(自社のデータを客観的に評価するための手法)が有効な手段になります。また、状況に応じて、外部の専門家へアドバイスを求めることもおすすめです。
IT ツールを導入する
データ基盤は膨大かつ多様なデータを扱うため、様々な IT ツールを駆使して構築することが一般的です。そのため、自社の予算と相談しながら必要な IT ツールを導入してください。
経済的な事情から複数ツールの導入が難しい場合は、自社の状況に合わせて必要最低限のツールを選びましょう。このように、優先順位を付けながら、慎重にツールを選択することが重要なポイントです。
関連記事:データ分析ツールの選び方とは?おすすめ5選を徹底比較!
まとめ
本記事では、データ基盤とは何か?を解説し、データ基盤構築のメリットや具体的な構築手順を 5Step でご紹介しました。
企業がデータ基盤を構築することで、属人化の回避や迅速な意思決定の実現などの様々なメリットを享受できます。デジタル技術が発展し、データ活用の重要性が強く叫ばれている現代において、データ基盤は必要不可欠な存在であるといえるでしょう。
そして、データ基盤構築には決められたステップがあるため、この記事を読み返して正しい順番でプロジェクトを進めてください。重要なポイントを理解しながら作業を進めれば、自社にとって最適なデータ基盤を構築することができます。
弊社では、DX を通じて高付加価値を生むサービス・ソリューション開発の支援からその後のマーケティング/セールス領域における生産性の向上をサポートしております。
「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。
こちらの問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。入力内容を確認した上で、担当者から改めてご連絡させていただきます。強引なしつこいセールスは一切ございませんので、ご安心ください。
本記事を参考にして、ぜひデータ基盤構築を検討してみてはいかがでしょうか?