近年のデジタル技術の急速な発展に伴い、世の中には様々なデータが溢れています。しかし、データは単体で存在するだけでは意味がなく、そのデータを可視化して有益な情報を抽出することで価値が生まれます。
本記事では、データの可視化の種類やメリット、具体的な手法など、あらゆる観点から一挙にご紹介します。自社でデータ活用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
データの可視化とは?
データの可視化とは、データの中身を人間が把握しやすいように分かりやすく表現することです。一般的に、データは数値や文字列で表されるため、その情報が何を意味するのかを瞬時に理解することはできません。
そこで、データの可視化を行うことで、そのデータに隠された有益な情報を抽出することができ、自社の運用改善や生産性向上などに繋げることができます。なお、データを可視化するための方法は多岐にわたりますが、主にグラフや散布図などを用いるケースが一般的です。
昨今、デジタル技術の急速な発展に伴い、企業が保有するデータ量は大幅に増加しています。そのため、自社のビジネス成長を促進するためには、膨大なデータを分かりやすく可視化し、得られた気付きをもとに適切なアクションを検討・実行することが重要なポイントになります。
また、データの可視化は自社の課題発見や顧客ニーズの把握に繋がり、結果としてデータドリブンな経営基盤の構築にも大きく貢献します。このように、データの可視化は企業にとって重要な取り組みであり、ビジネスを成長させるためには必要不可欠な要素であるといえるでしょう。
データ可視化の種類
一口にデータの可視化とは言っても、その種類は多岐にわたります。本章では、データの可視化の代表的な種類について、具体的な活用シーンを交えながら解説します。
棒グラフ
棒グラフは頻繁に使われているグラフの一種であり、日常生活の様々な場面で利用されています。なお、ビジネスシーンにおける活用例としては、月別の売上金額の推移把握や、営業実績の予実管理などが挙げられます。
折れ線グラフ
折れ線グラフも棒グラフと同様、数多くの場面で利用されているグラフの一種です。プロットされた点を直線で繋ぎ、連続データとして表示することで、数値の変化や推移などを分かりやすく可視化できます。
円グラフ
円グラフは対象データ全体を100%として、その構成比を扇形で分かりやすく可視化するためのグラフです。売上の構成比や既存顧客の男女比など、特定項目の内訳を因数分解したい場合に役立ちます。
ヒートマップ
ヒートマップはデータの値を色や濃淡で表現するためのグラフの一種です。身近な例としては、天気予報の降水確率や雨雲レーダーなどが該当し、これらはヒートマップを利用してデータを可視化しています。
散布図
散布図は異なる2つの項目を縦軸と横軸に分け、対象となるデータを点でプロットして分かりやすく表現する手法です。例えば、商品Aの売上金額を縦軸、販売月を横軸に設定すれば、月別の商品Aの販売傾向を把握でき、何月に商品Aが売れやすいのかなどを客観的に知ることが可能です。
データ可視化のメリット
ここまで、データ可視化の概要についてご説明しました。それでは、データを可視化することで、企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか?
本章では、データ可視化のメリットやビジネスに与える影響について解説します。自社がデータ可視化を実践した場合の具体的なイメージが湧くと思いますので、ぜひ参考までにご覧ください。
生産性の向上
膨大なデータを分かりやすく可視化することで、自社の弱みや強みを客観的に理解できます。また、顧客データを分析すれば、顧客の潜在ニーズや求めているものを把握することも可能です。そして、これらの情報をもとにアクションを検討することで、データに裏付けされた有効な施策を打ち出すことができ、結果として自社の生産性向上に繋がります。
スキルの平準化
個人ごとの業務状況をデータで見える化すれば、パフォーマンスが高い人と低い人を客観的な指標で分類できます。そして、ハイパフォーマーのナレッジを吸い上げて横展開することで、スキルの標準化に繋がり、組織全体の業務効率を底上げすることが可能になります。
意思決定の迅速化
従来、企業の意思決定はベテラン社員や有権者の判断に委ねられるケースが一般的でした。しかし、人間による判断は常に正しいわけではなく、場合によっては誤った意思決定を行ってしまうリスクがあります。
その点、データを可視化して、その情報をもとに意思決定を行うことで、客観的なデータに裏付けられた判断を迅速に行うことが可能になります。そして、データ駆動型の企業文化を醸成できれば、データドリブンな意思決定を実現でき、あらゆる環境変化に対して柔軟に対応できる盤石な経営基盤を構築できます。
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データ可視化の具体例
昨今、多くの企業がデータの可視化に取り組んでいますが、具体的にどのようにビジネスに活用しているのでしょうか?
本章では、データ可視化の具体例をご紹介します。どれも実践的な内容となっていますので、自社でデータ可視化を実践する際の参考にしてください。
営業実績の可視化
営業実績をデータで可視化することで、予算(目標)に対する現在の実績や達成率などを把握できます。これにより、達成までに必要な数字や具体的なアクションを考えられるようになり、組織全体が一丸となって目標達成に向けて動くことができます。
顧客情報の可視化
顧客情報を可視化すれば、そのデータをもとに今後のアクションに繋げることが可能です。顧客情報の例としては、年齢や性別などの基本属性、自社サービスへの関心度、過去の購買情報などが挙げられます。そして、これらのデータを分かりやすく見える化・分析することで、提案ターゲットの選定や新規施策の立案など、自社のマーケティング活動や営業活動に役立てることができます。
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個人スキルの可視化
個人スキルをデータで可視化することで、特定分野に強い人を客観的に把握できます。そして、そのノウハウを横展開したり、特定分野に特化した専門チームを結成したりすることで、組織全体のボトムアップや生産性向上に繋がります。
データ可視化の手法
データ可視化を実践するためには、適切なプロセスに沿って順番に業務を進めていく必要があります。
本章では、データの可視化を行うための具体的な手法をご紹介します。あらゆる企業に当てはまる汎用性の高い内容となっていますので、ぜひ自社で実践する際の参考にしてください。
Step.1 目的を明確化する
データの可視化はそれ自体が目的ではなく、目標を達成するための手段に過ぎません。そのため、まずはデータ可視化の目的を明確化することが重要なポイントになります。目的が定まっていないと、データ可視化の効果は薄れてしまうため、時間をかけて慎重に検討してください。
Step.2 必要なデータを集める
目的を決めた後は必要なデータを収集します。自社システムやWeb上の口コミ、SNS投稿など、膨大なデータがあらゆる場所に点在しているため、目的から逆算して集めるデータを取捨選択し、必要最低限の情報のみに絞ることが、データの可視化を円滑に進めるためのポイントになります。
Step.3 データを分析する
必要なデータを集めたら、それらの情報を多角的に分析します。この時、有益なインサイト(洞察)や気付きを得られるように、様々な視点から分析作業を繰り返すことが大切です。同じデータだとしても、見方を変えるだけで新たな発見があるため、根気よく丁寧に作業を進めることが重要なポイントになります。
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Step.4 分析結果をわかりやすく可視化する
データ分析が完了した後は、分析結果を分かりやすく可視化してください。例えば、グラフや表を用いて表現するなど、人間が直感的に理解しやすい形に工夫することが大切です。また、データの中身により、最適な可視化の方法は変わるため、状況に応じて様々な手法を使い分けることが重要なポイントになります。
Step.5 具体的なアクションを検討・実行する
データを分かりやすく可視化したら、その情報をもとに具体的なアクションを検討・実行します。そして、ここまでのプロセスを順に踏むことで、効率的なデータの可視化を実現でき、データドリブンな経営基盤の構築に繋がります。
なお、データは常に変化するため、定期的に新しいデータを取り込み、同じプロセスを繰り返し実践することが大切です。データの可視化やデータ活用が一過性の取り組みにならないよう、常にPDCAサイクルを回すことを意識してください。
データ可視化に役立つITツール
膨大なデータを手作業で可視化することは困難であるため、データの可視化を効率的に進めたい場合は、ITツールの導入が有効な選択肢になります。本章では、データ可視化に役立つITツールを4つご紹介します。
BIツール
BIは「Business Inteligence」の略であり、BIツールはデータを分かりやすく見える化するためのツールです。手作業でデータを可視化する場合、Excelなどを用いて煩雑な作業を行う必要がありますが、BIツールはグラフ・表の作成を自動化してくれるため、自社の業務効率化に繋がります。
また、データ分析機能が搭載されているBIツールも存在するため、これらを導入すれば、データの分析から可視化までのプロセスを一気通貫で実行できます。このように、効率的なデータの可視化を実現するためには、BIツールが有効な選択肢になるといえるでしょう。
CRMツール
CRMは「Customer Relationship Management」の略であり、日本語では顧客関係管理と呼ばれています。顧客情報の管理を効率化できる点がCRMの大きなメリットであり、自社の生産性向上を実現する上でとても重要なものであるといえます。
そして、CRMツールは顧客の基本情報や自社との取引状況、顧客との関係性などを効率的に管理・見える化するためのITツールです。CRMツールを活用することで、社員全員が顧客に関する様々な情報をもとに顧客対応を行うことが可能になり、組織全体として大幅な生産性向上に繋がります。
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SFAツール
SFAは「Sales Force Automation」の略であり、日本語では営業支援システムと呼ばれています。営業活動を効率化できる点がSFAの大きなメリットであり、CRMと同様に自社の生産性を高める上で重要な存在となっています。
そして、SFAツールは営業活動を効率化するための機能が搭載されたITツールのことであり、SFAツールを活用することで、顧客情報の管理や日常業務を効率的に行うことができます。また、営業活動に関する様々な情報を分かりやすく見える化できるため、データの分析・可視化を行うための作業時間を削減でき、より戦略的な活動に集中することが可能になります。
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MAツール
MAは「Marketing Automation」の略であり、マーケティングプロセスを自動化し、効果的な顧客エンゲージメントを促進するための仕組みのことです。昨今、情報技術の急速な発展に伴い、膨大な顧客データをもとにマーケティング活動を効率的に行うための手段として、MAが大きな注目を集めています。
そして、MAツールはMAを効率的に実行するためのツールのことであり、顧客データを分かりやすく管理・見える化したり、繰り返しのタスクや手動作業を自動化したりできます。これにより、マーケティングチームの業務効率化に繋がり、自社のビジネス成長を強くサポートしてくれます。
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まとめ
本記事では、データの可視化の種類やメリット、具体的な手法など、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。
企業がデータの可視化を実践することで、生産性の向上や意思決定の迅速化など、様々なメリットを享受できます。データ可視化はあらゆるビジネスシーンで有効活用できるため、この記事を読み返して具体的な手法や進め方を理解しておきましょう。
ただし、膨大なデータを手作業で可視化することは困難であり、多大な時間・工数が発生してしまいます。そのため、効率的にデータの可視化を実践したい場合は、ITツールの導入が有効な選択肢になります。
具体的なツール例としては、BIツールやCRMツール、SFAツール、MAツールなどが挙げられます。ツールごとに強みや特徴は異なるため、自社の状況に応じて最適なものを選択してください。
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本記事を参考にして、ぜひデータ可視化への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?