インサイドセールスの業務効率化に必要なポイント5つとツール

昨今、インサイドセールスという言葉が大きな注目を集めています。ただ、インサイドセールスという言葉自体は聞いたことがあっても、その意味を詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか?

インサイドセールスは非対面営業とも呼ばれており、顧客を直接訪問せずに電話・メール・Web会議などを駆使して商談を進める営業手法の一つです。本記事では、インサイドセールスの概要や役割、効率化に必要なポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介します。

なお、2019年に翔泳社より出版された福田康隆氏の著書「THE MODEL(ザ・モデル)」では、インサイドセールスの全体像や重要なポイントが体系的にまとめられています。同書はセールスフォース社で実践されているマーケティング活動や営業プロセスをもとに執筆されており、インサイドセールスを学ぶためのバイブル的な存在として多くの支持を集めているため、関心のある方はぜひ一度読んでみてください。

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、顧客を直接訪問せずに電話・メール・Web会議などを駆使して商談を進める営業手法の一つです。遠隔で顧客対応を行う点がインサイドセールスの特徴であり、日本語では「非対面営業」と表現されることもあります。なお、顧客を直接訪問する従来の営業手法は「フィールドセールス」と呼ばれています。

昨今、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、リアルで顔を合わせる商談機会は大幅に減少しました。その代替手段としてzoomなどのWeb会議が広く活用されており、このような背景に伴って、顧客を訪問することなく商談を進められるインサイドセールスが大きな注目を集めています。

企業がインサイドセールスを導入することで、営業活動の効率化や生産性向上を実現できます。遠隔で顧客対応を行うことで、移動にかかる交通費を抑えられますし、客先への移動時間を別の業務に充てることも可能です。

また、商談創出を目的としたナーチャリング活動もインサイドセールスの守備範囲です。これは、一般的に「リードナーチャリング」と呼ばれるプロセスであり、リードに対して架電を行い、潜在ニーズを顕在化して案件創出に繋げます。

インサイドセールスは顧客訪問を実施しないため、自分のペースで仕事を進めることができ、より多くの顧客対応を行うことが可能になります。このように、インサイドセールスは自社の業務効率化や生産性向上に繋がる重要な取り組みだといえるでしょう。

インサイドセールスの役割

インサイドセールスの役割について理解するためには、マーケティングやフィールドセールスとセットで考える必要があります。

インサイドセールスを含めた一般的な営業プロセスでは、

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • フィールドセールス

という順番でリードが流れていきます。

まずは、ウェビナーやメルマガ配信などのマーケティング活動を通して、マーケティングチームが新規リードを創出します。そして、発掘されたリードに対してアプローチを行い、商品説明やニーズ顕在化などを行うことがインサイドセールスの役割になります。

その後、商談が具体化したらインサイドセールスからフィールドセールスに案件をトスアップし、最終的にフィールドセールスがクロージングを実施して受注に至ります。このように、インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスに挟まれた中間のプロセスを担当することを覚えておきましょう。

また、会社によってはマーケティング担当がインサイドセールスを兼任したり、フィールドセールスがインサイドセールスを兼任したりすることもあります。ただし、このような場合でもそれぞれの役割を明確に分けて、各営業プロセスにおける部署ごとのミッションを定めて運用することをおすすめします。

なお、インサイドセールスとして任命する担当者については、できれば営業経験者を配置することがベストな選択です。インサイドセールスは非対面であるものの、主な業務内容は営業と変わらないため、営業経験者なら顧客目線に立った対応を行うことができるためです。

インサイドセールス要員として「営業経験がないマーケティング担当」をアサインするケースも多いですが、顧客対応を行うメンバーが営業プロセスを細かく理解していないと適切なアクションが取れず、結果として失敗に終わることが多いため、この点には注意しておきましょう。

インサイドセールスの業務内容

次に、インサイドセールスの具体的な業務内容について見ていきましょう。インサイドセールスの業務内容は会社によって異なりますが、一般的には潜在ニーズの顕在化やフィールドセールスへの案件トスアップなどが該当します。

マーケティングチームが創出したリードに対して電話・メールなどを駆使してアプローチを行い、顧客とのリレーションを構築するとともにニーズの顕在化を目指します。顧客目線では、最初に接触する営業がインサイドセールスであるため、親切丁寧な対応が求められます。

また、顧客とのやり取りを重ねて受注確度が高まったら、次はフィールドセールスに案件をトスアップします。この時、提案時に注意すべきポイントや顧客の過去の発言など、商談のヒントになりそうな情報は漏れなくフィールドセールスへ引き継ぎします。

さらに、既存顧客数が多い企業においては、インサイドセールスがカスタマーサクセスの業務を担うこともあります。顧客からの問い合わせ対応をインサイドセールスが行い、サービス導入後のアフターフォローや各種サポートなどを実施することで、顧客満足度の向上や解約阻止へ繋げます。

このように、インサイドセールスの業務内容は多岐にわたります。どれも顧客を相手にする営業活動の一環であり、自社の売上向上を実現する上で必要不可欠な要素となるため、インサイドセールスは一連の営業プロセスの中で重要な役割を担っているといえるでしょう。

インサイドセールス業務でよくある課題

昨今、インサイドセールスを導入する企業は増えていますが、その中にはインサイドセールスがうまく機能していない会社も存在します。本章では、インサイドセールス業務でよくある課題をご紹介します。

なお、課題を解決するための対策に関しては次章で詳しくご説明しますので、まずはインサイドセールス業務にはどのような課題があるのかを理解しておきましょう。

部署間の連携ミスが発生する

インサイドセールス業務の代表的な課題として、部署間の連携ミスが挙げられます。前述した通り、インサイドセールスはマーケティングチームやフィールドセールスなど、多くの関係者と連携しながら仕事を進めますが、連携ミスが発生すると適切な顧客対応を行うことができません。結果として、対応品質が下がり、顧客満足度が低下してしまうリスクがあります。

現場のモチベーションが低下する

顧客訪問を行わないインサイドセールスでは、毎日大量の案件を対応する必要があり、常に顧客からの連絡や社内処理に追われてしまう傾向があります。そして、このような多忙さや業務のマンネリ感により、社員のモチベーションが下がりやすい点がインサイドセールスの課題の一つとなっています。

担当者ごとに対応品質が異なる

インサイドセールスは特定の顧客に特定の営業担当が付くのではなく、インサイドセールスチーム全体として、膨大な顧客の対応を行うことが一般的です。そのため、案件ごとに営業担当が入れ替わり、同じ顧客に対して複数の営業が対応するケースも珍しくありません。これにより、営業担当者ごとの対応品質の違いが顧客に伝わりやすく、パフォーマンスが低い営業は顧客からの信頼を得ることができずに顧客満足度の低下や解約リスクなどに繋がってしまいます。

人材育成の時間を確保することが難しい

インサイドセールスは多忙な部署であり、ベテランメンバーなどが人材育成を担当する余裕がありません。その結果、新入社員や別部署からの異動者が入ってきたとしても、その人材を育成することができず、組織としてスキルの底上げが困難になります。また、一般的にインサイドセールスはベテランメンバーを集めて結成することが多く、フィールドセールスと比較してチームの平均年齢が高くなる傾向にあるため、人材が育ちにくい環境は由々しき課題であるといえます。

日々の活動を見える化できていない

多数の顧客を抱えるインサイドセールスでは、メンバーが目の前の仕事で一杯一杯になり、自身の活動をレポートなどでアウトプットする余裕がありません。そのため、誰がどのような活動を行なっているのかを見える化できず、日々の活動がブラックボックス化してしまいます。このような状態では、組織の現状を把握することは困難であり、今後に向けた運用改善などを検討することは難しいといえるでしょう。

顧客とのリレーションが希薄になる

原則、インサイドセールスは非対面での活動であり、フィールドセールスと比較して顧客と接する機会が少なくなります。そのため、顧客とのリレーションが希薄になる傾向があり、解約リスクが高まってしまう可能性があります。解約抑止においては、顧客との関係性が重要であるため、この点はインサイドセールスの大きな課題の一つだといえるでしょう。ただし、最近はWeb会議を利用して製品デモを実施するケースも存在するため、顧客と一定のリレーションを構築するためには、各種ツールの活用が重要なポイントになります。

インサイドセールス業務の効率化に必要なポイント5つ

前章では、インサイドセールス業務でよくある課題をご紹介しました。それでは、具体的にどのように課題を解決すれば良いのでしょうか?ここからは、インサイドセールス業務の効率化に必要なポイントを5つに絞って、分かりやすくご説明します。

社内連携を密に行う

前述した通り、インサイドセールスは様々な社内関係者と連携しながら仕事を進めていきます。そして、各部署が密に連携を行うことで、スピーディーな顧客対応を実現でき、生産性や顧客満足度の向上に直結します。そのため、インサイドセールス・マーケティング・フィールドセールスの3者で定例会を設定し、目標進捗や現状課題などを話し合う場を積極的に設けることが大切です。

KPIをメンバー全員で共有する

メンバーのモチベーションが低下しやすいインサイドセールスでは、KPIをメンバー全員で共有し、ゴールを明確化した上で業務を進めることが大切です。これにより、目標に向けてチームが一丸となって取り組む環境構築にも繋がります。また、社員のモチベーションを維持する上では、日々の活動が給与と連動するような評価制度を整備することも重要なポイントであるといえるでしょう。

ルールを整備する

業務の属人化や対応品質のバラつきを抑えるためには、インサイドセールス担当が個人の判断で動かないように、様々なルールを整備することが大切です。例えば、「顧客から届いたメールは翌営業中に返信」などの対応ルールを定めて、組織全体で業務を標準化できるように工夫してください。なお、ルールを作る際は現場にヒアリングを行い、実情に即した内容を検討することが重要なポイントになります。

教育カリキュラムを体系化する

多忙なインサイドセールスは人材教育に手が回らないことが一般的であるため、最低限の教育カリキュラムを体系化して、必要な教育を必要なタイミングで受けられる仕組みを構築することが大切です。例えば、インサイドセールスに求められる営業スキルや社内システムの使い方などを盛り込み、新入社員や新しい異動者が配属された場合でも既存のカリキュラムに沿って教育を行うことができる環境を整備してください。なお、人的リソースに余裕があれば、教育専門のチームを作り、メンバーの人材育成を担当してもらうことも有効な選択肢になります。

ITツールを導入する

インサイドセールスは日々の活動が不明瞭になりやすい傾向がありますが、ITツールを導入することで営業実績や日々の活動をデータで見える化することが可能です。また、顧客に対する定期メール配信などの作業を自動化できるツールも存在するため、工数をかけずに顧客との接触機会を増やすことができます。なお、インサイドセールス業務に役立つITツールに関しては、次章で詳しくご紹介します。

インサイドセールス業務に役立つITツール

インサイドセールス業務を効率化するためには、ITツールの導入が有効であることを前述しました。本章では、インサイドセールス業務に役立つITツールを3つご紹介します。

CRMツール

CRMは「Customer Relationship Management」の略であり、日本語では顧客関係管理と呼ばれています。顧客情報の管理を効率化できる点がCRMの大きなメリットであり、自社の生産性向上を実現する上でとても重要なものであるといえます。

そして、CRMツールは顧客の基本情報や自社との取引状況、顧客との関係性などを効率的に管理するためのITツールのことです。CRMツールを活用することで、社員全員が顧客に関する様々な情報をもとに顧客対応を行うことができるようになり、組織全体として大幅な生産性向上に繋がります。

関連記事:【2023年】おすすめのCRMツール7選を一挙にご紹介!(比較表付き)

SFAツール

SFAは「Sales Force Automation」の略であり、日本語では営業支援システムと呼ばれています。営業活動を効率化できる点がSFAの大きなメリットであり、CRMと同様に自社の生産性を高める上で重要な存在となっています。

そして、SFAツールは営業活動を効率化するための機能が搭載されたITツールのことであり、SFAツールを活用することで顧客情報の管理や日常業務を効率的に行うことができます。これにより、営業社員の時間やリソースを節約でき、より戦略的な活動に集中することが可能になります。

関連記事:【2023年】おすすめのSFAツール7選を一挙にご紹介!(比較表付き)

MAツール

MAは「Marketing Automation」の略であり、マーケティングプロセスを自動化し、効果的な顧客エンゲージメントを促進するための仕組みのことです。昨今、情報技術の急速な発展に伴い、膨大な顧客データをもとにマーケティング活動を効率的に行うための手段として、MAが大きな注目を集めています。

そして、MAツールはMAを効率的に実行するためのツールのことであり、顧客データを分かりやすく管理・見える化したり、繰り返しのタスクや手動作業を自動化したりできます。これにより、マーケティングチームの業務効率化に繋がり、自社のビジネス成長を強くサポートしてくれます。

関連記事:【2023年】代表的なMAツール5つを比較!選び方・導入プロセス

まとめ

本記事では、インサイドセールスの概要や役割、効率化に必要なポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。

企業がインサイドセールスを導入することで、営業活動の効率化や生産性向上を実現できます。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリアルの商談機会が減少した現代では、インサイドセールスの重要性は益々高まっているといえるでしょう。

ただし、インサイドセールスには固有の課題が複数存在しており、これらに注意しながら組織を動かしていく必要があります。この記事で解説した課題・対策を読み返し、内容を確実に理解しておきましょう。

また、効率的なインサイドセールスを実現するためには、ITツールの活用が必要不可欠です。CRMツールやSFAツール、MAツールなど、市場には様々なツールが存在するため、自社の目的に応じて最適なツールを導入してください。

弊社では、DX を通じて高付加価値を生むサービス・ソリューション開発の支援からその後のマーケティング/セールス領域における生産性の向上をサポートしております。

「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。

こちらの問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。入力内容を確認した上で、担当者から改めてご連絡させていただきます。強引やしつこいセールスは一切ございませんので、ご安心ください。

本記事を参考にして、ぜひインサイドセールスの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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