インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化!トスアップフローの具体的な設計方法を6ステップで解説

インサイドセールスを導入している一般的な企業では、インサイドセールスが創出した商談をフィールドセールスへトスアップし、その商談をフィールドセールスが成約に結び付けます。なお、トスアップとは、自身が創出した案件を他の担当者へ引き継ぐことを意味する言葉です。

ただし、インサイドセールスとフィールドセールスの連携には多くの課題が存在し、営業活動を効率的に進めるためには、重要なポイントを理解しておく必要があります。本記事では、インサイドセールス・フィールドセールスの概要やインサイドセールスが陥りがちな課題、トスアップフローの具体的な設計方法などをご紹介します。

インサイドセールスとフィールドセールスの違い

インサイドセールスとは、顧客を直接訪問せずに電話・メール・Web会議などを駆使して商談を進める営業手法の一つです。遠隔で顧客対応を行う点がインサイドセールスの特徴であり、日本語では「非対面営業」と表現されることもあります。

一方、顧客を直接訪問する従来の営業手法は「フィールドセールス」と呼ばれています。このように、客先へ直接足を運ぶか否かが、インサイドセールスとフィールドセールスの大きな違いだといえます。

そして、近年ではインサイドセールスとフィールドセールスをともに活用し、ハイブリッドな営業体制を構築している企業も珍しくありません。両者の役割分担は企業・組織ごとに異なりますが、一般的にはインサイドセールスが案件創出を担い、その商談を成約に結びつけるのがフィールドセールスの役割となっています。

なお、この記事は上記の棲み分けで役割分担を行なっている組織を前提とした内容になっているため、この点はあらかじめご承知おきください。

インサイドセールスが求められる理由

昨今、インサイドセールスの重要性が強く叫ばれていますが、その理由はどこにあるのでしょうか?本章では、インサイドセールスが求められる理由について解説します。

リードへの対応スピードを速めるため

営業活動のすべてを非対面で完結するインサイドセールスは、フィールドセールスと比較して移動時間などを削減できます。そのため、インサイドセールスがフィールドセールスと密に連携することで、リードへの対応スピードを速めることが可能です。

そして、リードの目線から見ると、インサイドセールスからフィールドセールスに情報が引き継がれるまでの間は「待ち」の状態になります。そこで、引き継ぎの方法やルールなどを事前に決めておけば、情報伝達を円滑に行うことができ、フィールドセールスがリードへ連絡するまでの時間を短縮できます。

リードとの会話を円滑に進めるため

リードとの会話を円滑に進めるためには、インサイドセールスとフィールドセールスの連携が重要なポイントになります。例えば、インサイドセールスがリードとの会話内容をフィールドセールスへ正確に伝えることで、フィールドセールスが過去の対応履歴を把握した状態で商談に臨めます。

これにより、リード目線では既にインサイドセールスに話した内容を繰り返し伝える必要がなくなり、フィールドセールスとの会話が円滑に進みます。このように、インサイドセールスとフィールドセールスが密に連携することで、顧客満足度や受注確度の向上に繋がります。

インサイドセールスが陥りがちな課題

本章では、インサイドセールスが陥りがちな課題について解説します。自社がインサイドセールスを運用する時のことをイメージしながら、注意すべきポイントについて見ていきましょう。

リードへの対応スピードが遅くなる

リードへの対応スピードが遅くなることは、インサイドセールスの代表的な課題の一つです。そして、対応が遅れることでリードの商談に対する温度感は低くなり、受注確度の低下などに繋がるリスクがあります。

対応スピードが遅くなる主な要因としては、インサイドセールスからフィールドセールスへ引き継ぎを行う際のルールが整備されていないことが挙げられます。このような場合、誰が何の情報をどのように引き継ぐのかを再度議論し、円滑な情報伝達を行うための体制を構築することが大切です。

リードとの会話内容がフィールドセールスに引き継がれていない

インサイドセールスからフィールドセールスへ引き継ぎを実施しても、リードとの会話内容を正確に伝えられていなければ、フィールドセールスがリードと適切なコミュニケーションを取ることは困難です。

このような事態に陥ってしまう要因としては、

  • インサイドセールスが商談履歴を記録していない
  • インサイドセールスがフィールドセールスに記録を共有していない
  • フィールドセールスが記録を確認していない

などの理由が挙げられます。また、引き継ぎルールが決まっていない場合、インサイドセールスの担当者ごとに引き継ぎ情報の粒度がバラバラになってしまうため、この観点からも引き継ぎルールの整備は必要不可欠であるといえます。

引き継ぎ情報の不足はリードに不信感を与えてしまい、その後の商談にマイナス影響を及ぼすため、事前にルールを整備して、適切な引き継ぎを実施できる体制を構築してください。

トスアップの判断基準が定まっていない

一般的な営業活動の流れとしては、インサイドセールスが案件創出を行い、その案件をフィールドセールスにトスアップして、最終的にフィールドセールスが成約に結び付けます。しかし、トスアップの判断基準が定まっていない場合、両者の連携が上手く進まないことが多く、この点もインサイドセールスにおける代表的な課題の一つとなっています。

特に「トスアップ件数」などの定量指標をKPIとして設定しているインサイドセールス組織では、トスアップ件数を稼ごうとするがあまりに、内容の薄い案件をフィールドセールスにトスアップしてしまう傾向にあります。このような事態に陥った場合、インサイドセールスとフィールドセールスの信頼関係を保つことが困難になり、組織全体の生産性が著しく低下します。

そのため、インサイドセールスが主観的な判断でトスアップを行うことがないよう、事前にトスアップの判断基準を決めておきましょう。これにより、属人的な判断で業務を進めてしまうリスクを排除でき、トスアップ案件の質を一定に担保することが可能になります。

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トスアップフローの具体的な設計方法

ここまで、インサイドセールスとフィールドセールスが連携することの重要性について解説しました。それでは、具体的にどのような流れでトスアップフローを設計すれば良いのでしょうか?

本章では、トスアップフローの具体的な設定方法を6つのステップに分けてご説明します。

Step.1 ターゲットリードの定義決め

はじめに、ターゲットリードの定義決めを行います。

例えば、

  • 部署
  • 職種
  • ミッション

など、自社のターゲットとして商談化を狙うべきリードの属性を決めてください。これにより、ターゲットリード以外に対するアクションを排除でき、自社リソースの節約に繋がります。

Step.2 商談の定義決め

ターゲットリードの定義を決めた後は、商談の定義決めを行います。

商談と聞くと、アポイントを思い浮かべることが多いと思いますが、アポイントをゴールに設定した場合、アポ数を稼ぐためにペルソナと合致しないリードにアポを取り、受注確度の低い案件が大量発生することで、フィールドセールスの商談工数を圧迫するリスクがあります。

また、受託のWeb制作やコンサルティングなど、打ち合わせで要件をヒアリングしないと詳細が分からない商材の場合、「アポの結果、要件を満たさないので見送り」というケースが発生し、同様にフィールドセールスの工数が増大します。

このような背景から、最近では「有効商談」をKPIに設定する企業が増えています。ここで言う有効商談とは、アポイントの中でも特定の要件を満たすような、受注に繋がりやすい商談を意味する言葉です。

有効商談の定義としては、

  • 予算を確保できていること
  • 決裁者の意思決定があること
  • 他社製品の契約期間が残り少ないこと
  • 社外との約束があること
  • 社内でのミッションを持っていること

などが一例として挙げられます。そして、このようなリードが導入に向けて動かざるを得ない事情のことをコンペリングイベントと呼びます。

コンペリングイベントが存在するリードは、具体的な期限を持って導入に動くことが多く、有効商談に繋がりやすいため、このような点も意識しながら商談定義を検討すると良いでしょう。

Step.3 商談割り振りルールの検討

商談定義を決めたら、次は商談割り振りルールを検討します。

ここで言う「商談の割り振りルール」とは、インサイドセールスが商談を創出した場合に、その商談をフィールドセールスに振り分けるためのルールを意味しています。仮に、フィールドセールスが社内に一人しか存在しない場合は、商談割り振りルールを決める必要はありませんが、複数人存在するのであれば、事前に決めたルールを基に運用しなければいけません。

商談割り振りルールの具体例としては、

  • フィールドセールスのキャパシティに基づいて割り振る
  • リードの企業属性に基づいて割り振る
  • フィールドセールスの経験値に基づいて割り振る
  • フィールドセールスの目標に基づいて割り振る

などが挙げられます。フィールドセールスの担当者同士で不平等が起こらないようにするためにも、事前に商談割り振りルールを細かく検討してください。

Step.4 引き継ぎフローの検討

商談割り振りルールを決めた後は、具体的な引き継ぎフローの検討に入ります。ただし、一口に引き継ぎフローと言っても、その種類は多岐にわたります。

例えば、商談内容に応じてインサイドセールスがフィールドセールスに商談を直接引き継ぐ「直接引き継ぎ型」や、フィールドセールス側に引き継ぎ担当を配置し、その担当者がインサイドセールスから商談の一次引き継ぎを行ったうえでフィールドセールスに商談を割り振る「一次引き継ぎ型」など、様々な引き継ぎフローが存在します。

直接引き継ぎ型はフローがシンプルで分かりやすいですが、インサイドセールスの商談を割り振る工数が増える点がデメリットです。一方、一次引き継ぎ型の場合、引き継ぎ先が固定されるため、インサイドセールスの負担は軽くなりますが、引き継ぎ担当として貴重なリソースを割かなければいけません。

このように、どの引き継ぎフローを選択するかによって、異なるメリット・デメリットが存在します。それぞれの違いを理解したうえで、自社に適した引き継ぎフローを採用するように意識してください。

Step.5 引き継ぎ情報フォーマットの検討

引き継ぎフローが決定した後は、具体的な引き継ぎ情報フォーマットを検討します。

前述した通り、引き継ぎ情報をルール化・フォーマット化しない場合、インサイドセールスの担当者が属人的な判断でトスアップや引き継ぎを実施するため、情報の粒度などに差が生じてしまいます。

そのため、引き継ぎ情報フォーマットは自由記入にするのではなく、引き継ぎ情報の要素(項目)や情報の書き方の粒度などが統一されるよう、工夫しながら作成することが大切です。この時、記入例のようなサンプルを用意しておけば、より引き継ぎ情報の質を標準化することができます。

Step.6 フィールドセールスへの共有方法の検討

最後に、インサイドセールスからフィールドセールスへ引き継ぎを行う際の共有方法を検討します。

具体的な共有方法の例としては、

  • 電話
  • Slack
  • HubSpot
  • Teams
  • メーリングリスト
  • レポート作成

などが挙げられます。

このように、フィールドセールスへの共有方法は多岐にわたりますが、電話のような音声ベースの引き継ぎの場合、後から内容を振り返ることができないため、可能であればテキストで履歴が残るような共有方法をおすすめします。

まとめ

企業にとって、インサイドセールスとフィールドセールスはとても重要な機能ですが、両者の連携が上手く進まない場合、営業活動を円滑に進めることは困難です。

そして、インサイドセールスとフィールドセールスの密な連携を実現するためには、事前のルール決めやトスアップフローの整備などが必要不可欠になります。細かい部分に気を配って運用ルールを固めることで、リードへの迅速な対応が可能になり、結果として受注率や顧客満足度の向上に繋がります。

この記事では、具体的なトスアップフローの設計方法について解説しましたので、内容を読み返して重要なポイントを理解しておきましょう。

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本記事を参考にして、インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化を図ってみてはいかがでしょうか?

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