企業がマーケティング活動を行う上では、流入経路ごとに施策の効果測定を行い、その結果をもとに次のアクションに繋げていくことが大切です。しかし、思うように効果測定を進めることができず、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
弊社クリエイティブホープへのご相談でも、
- リソース不足で効果測定まで手が回っていない
- 流入経路ごとに効果測定を行う手順がわからない
- 効果測定時の具体的な分析イメージが湧いていない
などの内容が多く寄せられています。
本記事では、流入経路ごとの効果測定が求められる理由やよくある課題、成功させるためのポイントなどを一挙に解説します。この記事を読むことで、流入経路ごとに施策の効果測定を行うための方法を理解でき、自社のマーケティング活動を効率化することが可能になります
なお、この記事に掲載している内容は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つです。そのため、記事を読んだ後、すぐに行動に移せるような実践的な内容であり、リードの案件化数の増加にも繋がるため、ぜひ最後までご覧ください。
流入経路ごとの効果測定が求められる理由
はじめに、流入経路ごとの効果測定が求められる理由について解説しますが、具体的な内容に入る前に、記事の大前提となる考え方を理解しておきましょう。
記事内では様々なマーケティング用語が登場するため、代表的なものを以下に記載しておきます。
- CVR ( Conversion Rate ):商談化率
- リード:社名、氏名、部署名、役職、電話番号、住所、メールアドレスの7点セットが揃っているターゲット顧客
- SAL ( Sales Accepted Lead ):許可をもらい、マーケから営業へ引き継いだリード
- SQL ( Structured Query Language ):商談化したリード
- ROI ( Return on Investment ):投資利益率
- ROAS ( Return On Advertising Spend ):広告の費用対効果
- CPA ( Cost Per Action ):顧客獲得単価
なお、上記の定義は日経 BP社 の「マーケティングの KPI 「売れる仕組み」の新評価軸」が出典元になります。
そして、リードから SAL 、 SQL への転換を含めた指標を用いて評価を行うことで、リードマネジメントを進める上での効果的な流入経路を把握できます。
また、本記事では、各ライフサイクルステージの定義や条件付けなど、細かい部分には言及していません。加えて、各ライフサイクルステージに転換するナーチャリング施策や営業活動にも言及せず、これらが既に実施されていることを前提としています。
それでは、流入経路ごとの効果測定が求められる理由について見ていきましょう。
マーケティング活動の効果を細かく把握できる
自社のマーケティング活動を効率化するためには、現状を正しく把握する必要があります。
そして、流入経路ごとに効果測定を行うことで、 ROI が高い施策や流入数が多い施策を特定できます。これにより、どの施策が最も効果的なのかを客観的なデータで示すことが可能になります。
一般的に、リードジェネレーション(初回のコンバージョンやリード獲得)のデータのみでは、商談や受注に寄与する流入経路を把握することは困難です。そのため、商談創出に向けたリードマネジメント(ナーチャリング施策)とリードジェネレーションは、セットで考えるべきだと言えるでしょう。
適正なリソースマネジメント・意思決定に繋がる
効果的な施策を特定できれば、その結果を基にリソースマネジメントや意思決定に役立てることができます。なお、リソースマネジメントとは、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「時間」などの経営資源をどこに注力させるかを管理・決定することです。
例えば、
- 費用対効果の高い流入経路からの流入数を伸ばす
- 費用対効果はベストではないが流入数が多く、流入後の施策で改善することで商談創出数や受注数を伸ばす
- 費用対効果が悪く、今後も改善見込がないため、該当の流入経路への施策は打ち切る
など、自社の状況に合わせて、客観的なデータに基づいた意思決定を行うことが可能になります。
客観的なデータを基に新たなアクションを検討できる
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめとして、社会に大きな影響を与える外部環境の変化が起きています。そして、このような変化に伴い、ユーザーの心理・行動にも変化が生じやすい状態となっているため、流入経路別の効果は永続的とは言い切れません。
そこで、流入経路ごとの効果測定を行うことで、施策の定点観測を行うことができます。その結果、リードの質や外部・内部環境による数値の変化を把握し、それらのデータに基づいた新たなアクションを検討することが可能になります。
仮に変化を捉えられない場合、有効な打ち手を検討することは難しく、非効率な施策にリソースを投下し続けてしまうリスクもあります。このような観点からも、流入経路ごとの効果測定は重要な取り組みであると言えるでしょう。
流入経路ごとの効果測定を行うべきビジネスモデルとタイミング
流入経路ごとの施策の効果測定は、自社のマーケティング活動を効率化する上で重要なものですが、一定の条件を満たしている場合はより高い効果を期待できます。本章では、流入経路ごとの効果測定を行うべきビジネスモデルとタイミングについて解説します。
実践すべきビジネスモデル
流入経路ごとの施策の効果測定は、リードマネジメントを必要とする B to B ビジネスモデル全般に活用できます。そのため、業種や企業規模などを問わず、幅広い企業が取り組むべき内容だと言えるでしょう。
一方、 B to B 向けの EC など、「コンバージョン = マネタイズ」という図式になっているビジネスモデルでは、思うような効果が出ない可能性もあります。まずは、自社のビジネスモデルを分析し、流入経路ごとの効果測定を行うべきか否かを客観的に判断することが大切です。
実践すべきタイミング
流入経路ごとの施策の効果測定を行うタイミングとしては、一定数のリードを獲得できた後がおすすめです。なぜなら、リード数や流入数が少ない状態で分析を行ったとしても、価値のあるデータを得ることは難しいためです。
具体的に言えば、「 PMF 達成フェーズ」または「ユニットエコノミクス成立フェーズ」にいる場合、流入経路ごとの効果測定を行うことで、高い効果を期待できます。なお、 PMF とは「 Product Market Fit 」の略であり、自社の製品が市場に適合しており、顧客に受け入れられている状態を意味する言葉です。
以下、 PMF 達成フェーズとユニットエコノミクス成立フェーズの定義を表にまとめます。
フェーズ名 | 具体的な状態 |
---|---|
PMF 達成フェーズ | ・リード獲得の最大化が主な戦略 ・一定数のリードを獲得できている ・複数の流入経路が生じており、分析に値するデータが蓄積できている |
ユニットエコノミクス成立フェーズ | ・質の高いリードの営業トスアップ最大化が主な戦略 ・一定の商談数・受注数があり、分析に値するデータが蓄積できている ・ROI の改善を求められている |
フェーズ名 | 具体的な状態 |
---|---|
PMF 達成フェーズ | ・リード獲得の最大化が主な戦略 ・一定数のリードを獲得できている ・複数の流入経路が生じており、分析に値するデータが蓄積できている |
ユニットエコノミクス成立フェーズ | ・質の高いリードの営業トスアップ最大化が主な戦略 ・一定の商談数・受注数があり、分析に値するデータが蓄積できている ・ROI の改善を求められている |
自社がこのような状態にいる場合は、ぜひ流入経路ごとの効果測定に取り組んでみてください。
流入経路ごとの効果測定を行う際のよくある課題
次に、流入経路ごとの効果測定を行う際のよくある課題についてご紹介します。自社で実践する際に困ることがないよう、ぜひ参考までにご覧ください。
分析だけで満足してアクションに繋がらない
分析だけで満足してしまった場合、営業サイドとの会話が生まれず、現場の声を施策に反映できません。また、分析結果から考察を生み出すことも困難であり、リソースマネジメントに活用できなくなります。そのため、流入経路ごとの効果測定を行う場合には、分析とアクション検討をセットで考えることが必要不可欠です。
商談化や受注に貢献できないリードばかりが増えてしまう
リードジェネレーションの目的は、商談化や受注に繋がるリードを創出することです。しかし、商談化・受注に貢献できないリードばかりが増えてしまう点も、企業のマーケティング活動における代表的な課題の一つだと言えるでしょう。
このような状態を回避するためには、
- ROI ( Return on Investment ):投資利益率
- ROAS ( Return On Advertising Spend ):広告の費用対効果
- CPA ( Cost Per Action ):顧客獲得単価
など、商談化数を基準とした指標を用いて流入経路ごとの効果測定を行い、機会損失を防ぐための工夫を施すことが重要なポイントになります。
全体最適の観点が抜け落ちて部分最適のみを行ってしまう
全体最適の観点が抜け落ちて部分最適のみを行ってしまうと、マーケティング活動の効率は低下します。例えば、マーケティング部署と営業部署が求めるリードのフェーズがそれぞれ異なり、各部署における最適化のみを意識した場合、見込みリードが不要なものとして判断されてしまう可能性があります。
また、部分最適は見ている範囲が限定的であるため、誤ったリソースマネジメントを行ってしまい、非効率な施策にリソースを集中させてしまうリスクもあります。そのため、流入経路ごとの効果測定を行う際には、マーケティングチャネル全体に目を向けて、大きな視点で分析作業を進めることが大切です。
どの流入経路が商談に繋がっているか分からない
どの流入経路が商談に繋がっているか分からない点も、マーケティング活動における代表的な課題です。例えば、ライフサイクルステージが活用できていなかったり、マーケティング部署が営業とうまく連携できていなかったりする場合に、このような状態に陥りやすい傾向にあります。
そのため、顧客のライフサイクルステージ(購買プロセス内のどの位置にいるのか)や商談の進行状況などを適切に管理し、どの流入経路が商談に繋がっているのかを見える化することが大切です。なお、顧客情報や商談状況を効率的に管理するためには、 CRM や SFA などの IT ツールが有効な手段であるため、ぜひ前向きに導入を検討してみてください。
関連記事:【2023年】おすすめのCRMツール7選を一挙にご紹介!(比較表付き)
流入経路ごとの効果測定を成功させるためのポイント
流入経路ごとの効果測定を行う際には、どのような点を意識する必要があるのでしょうか?本章では、流入経路ごとの効果測定を成功させるためのポイントをご紹介します。
仮説を立てた上で全体から詳細へ順番に分析を進める
流入経路ごとの施策効果を測定する際には、商談化に寄与した施策を特定するために、いくつか仮説立てを行うことが大切です。
例えば、リード数は増えているものの商談数が増えていないケースでは、主なリードの獲得元(流入経路)からの商談化が少ないのではないか、と考えられます。また、リード数自体が減少している場合には、これまで商談化に寄与していた流入経路が商談化しにくくなっている可能性があります。
このように、パターンごとに分けて複数の仮説立てを行い、原因を探るための分析作業を進めてください。
なお、データ分析は全体から詳細へ順番に実施することが大切です。まずは、マーケティングのプロセス全体を広い視点で捉えて、その後に詳細(流入経路別)なデータを深掘りしていきましょう。
分析結果を基に次のアクションを検討する
流入経路ごとの効果測定を成功させるためには、分析結果を基に次のアクションを検討することが必要不可欠です。せっかく効果測定を行い、様々なデータを分析したとしても、その情報を具体的なアクションに繋げなければ意味がありません。
アクションの具体例としては、
- 商談化に寄与する流入を増やす(経営資源の投入)
- 商談化に寄与する新しい流入経路の開拓
- 商談化に寄与していない流入経路の改善
などが挙げられます。
このように、流入経路ごとの効果測定を実行する際には、分析結果を踏まえた改善アクションの検討までをセットで考えるように意識してください。
HubSpot を活用した流入経路ごとの効果測定方法
ここまで、流入経路ごとの効果測定について詳しく解説しましたが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用すれば、効率的に作業を進めることが可能になります。
HubSpot とは、マーケティングを総合的に促進させる CRM プラットフォームであり、目的に応じて利用できる様々な機能が一気通貫で搭載されています。例えば、マーケティングや営業、コンテンツ管理、カスタマーサービスなど、 HubSpot がカバーしている領域は多岐にわたります。
関連記事:わかりやすい!HubSpotの料金体系をプランごとに徹底解説
最後に、 HubSpot を活用した流入経路ごとの効果測定方法をご紹介します。
なお、 HubSpot で流入経路ごとの効果測定を行うためには、事前に下準備を行う必要があります。例えば、 UTM パラメータを URL の後尾に付与したり、施策ごとにアセットをグルーピングしてキャンペーンに設定したりする作業などが挙げられます。
もし、自社だけで設定するのが不安な場合は、専門家へ相談することも有効な選択肢になります。弊社 クリエイティブホープ は HubSpot のプラチナパートナーであり、上記のような設定サポートや HubSpot の運用に関するアドバイスを行うことも可能なため、関心のある方は問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。
流入数を把握する場合
HubSpot で流入数を把握したい場合は、トラフィックアナリティクスの活用がおすすめです。これは web サイト上のトラフィックデータを確認・分析し、様々な条件(ソースやデバイスタイプなど)を指定した上で、具体的なトラフィックの数値を分かりやすく表示できる機能です。
また、 HubSpot にはレポートやダッシュボードの機能も搭載されており、基本テンプレート(サンプルレポート)を利用することで、工数をかけずに流入数を見える化できます。さらに、カスタムレポートビルダーで自社独自のレポートを作成できる点も、 HubSpot の大きな魅力の一つだと言えるでしょう。
CVR (商談化率)を把握する場合
HubSpot で CVR を把握したい場合は、キャンペーン機能の活用がおすすめです。 HubSpot のキャンペーンをアセットと紐づけることで、キャンペーン(施策)ごとの効果や CVR を簡単に可視化できます。
そして、効果の高いキャンペーンの流入元を特定すれば、流入経路ごとの数値を効率的に把握することが可能になります。また、流入数と同様に、レポートによる CVR の確認も可能なため、自社の状況に合わせて最適な方法を選択できる点も嬉しいポイントです。
まとめ
本記事では、流入経路ごとの効果測定が求められる理由やよくある課題、具体的な効果測定の方法などを一挙に解説しました。
流入経路ごとに効果測定を行うことで、有効な打ち手の検討やリソースマネジメントの実現など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、重要なポイントや具体的な進め方を理解しておきましょう。
そして、流入経路ごとに施策効果を測定するためには、適切なステップを順番に進めていく必要がありますが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用すれば、キャンペーンの効果測定を効率的に行うことが可能になります。
例えば、キャンペーンをアセットと紐付けて分析すれば、キャンペーン(施策・流入経路)ごとの効果測定を効率化することが可能です。また、レポート機能が搭載されているため、分析した結果をダッシュボードやレポートなどで分かりやすく可視化できます。
このように、 HubSpot を活用することで、流入経路ごとの効果測定を円滑かつ迅速に実行できるようになり、自社の業務効率化や生産性向上に繋がります。流入経路ごとの施策効果を把握するためには、 HubSpot が有効なツールの一つになると言えるでしょう。
なお、今回ご紹介した施策は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つになります。この他にも、様々な施策を用意しており、複合的に各種施策を実施することで、リードの案件化数を効率的に増加させることも可能です。
リードマネジメントに関してお困りごとがあれば、こちらの問い合わせフォームより、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、弊社クリエイティブホープは HubSpot のプラチナパートナーにも認定されているため、 HubSpot に関するご相談にも柔軟に対応できます。
関連記事:わかりやすい!Hubspot導入支援パートナーの役割と選び方を解説
「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。
本記事を参考にして、流入経路ごとの効果測定の実践および HubSpot の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
HubSpotの活用や、デジタルマーケティング、データ分析・基盤構築に関するeBook の数多くご用意しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。