昨今、データ活用の重要性が強く叫ばれていますが、効率的に作業を進めるためには、データ自体が綺麗に整理されている必要があります。そして、データの精度を高める上では、名寄せが有効な手段の一つになります。
本記事では、データの名寄せや表記揺れの概要に加えて、ユースケースや具体的な手順まで一挙に解説します。データの表記揺れを修正するおすすめサービスもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
データの名寄せと表記揺れ
まずは、データの名寄せとは何かを理解しておきましょう。名寄せとは、自社システムなどに存在する重複データを 1 つにまとめる作業を意味します。
企業が保有するデータの中には、同一顧客が複数のレコードに分かれて登録されているようなケースが散見されます。例えば、異なる営業がそれぞれ同じ顧客情報をシステムに登録し、同一人物のデータがシステムに重複して存在する場合などが該当します。
そして、これらのデータを名前や住所などの情報をもとに 1 つにまとめることが名寄せの目的です。これにより、自社が保有するデータを綺麗に整理された状態で保管でき、データ分析などの精度を高めることが可能になります。
表記揺れとは？
名寄せを考える際に重要なポイントの一つになるのが「表記揺れ」です。表記揺れとは、同音・同義の単語に対して異なる表記が付けられていることを意味します。
表記揺れが発生している場合、本来は同じ単語として扱われるはずのものが異なる単語と認識され、データ分析を行う場合などに悪影響を与えます。そのため、表記揺れもデータを名寄せする際の対象の一つにすべきだと言えるでしょう。
表記揺れの例
以下、表記揺れの具体例をいくつかご紹介します。
- 漢字（渡辺・渡邊・渡邉）
- 送り仮名（申込・申込み・申し込み）
- 文字の種類（みかん・ミカン・蜜柑）
このように、一口に表記揺れと言っても、その種類は多岐にわたります。自社のデータ活用を効率的に進めるためには、これらの表記揺れを名寄せによって統一し、データを綺麗な状態で保管することが必要不可欠です。
データを名寄せするメリット
ここまで、データの名寄せや表記揺れについてご説明しましたが、データを名寄せすることで具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか？本章では、データを名寄せするメリットについて解説します。
データを整理できスムーズなデータ活用ができる
名寄せを行うことでデータの重複削除や形式統一ができるため、自社のデータを綺麗な状態で保管でき、その後のデータ分析を円滑に進めることが可能です。デジタル技術が急速に発展し、企業が保有するデータ量が増大している現代において、データ活用を促進できる点は名寄せの大きなメリットであると言えるでしょう。
コストの削減に繋がる
データの名寄せは重複レコードを 1 つにまとめるため、ストレージの節約に繋がります。その結果、無駄な容量を使うことがなくなり、自社のコスト削減を実現できます。このように、データの名寄せはデータを綺麗に整理するだけではなく、経済的なメリットがあることも覚えておきましょう。
営業活動を効率化できる
データの名寄せを行わず、システム内に同一顧客が複数レコードとして存在する場合、同じ顧客に対して何度もアプローチしてしまうリスクがあります。しかし、名寄せを行うことで重複レコードを削除できるため、非効率な営業活動をなくすことが可能です。このように、営業活動の効率化や顧客満足度の向上に繋がる点も、名寄せの大きなメリットであると言えます。
企業が名寄せを必要とするユースケース
データの名寄せは企業にとって重要なものですが、どのようなケースで効果を発揮するのでしょうか？本章では、企業が名寄せを必要とする具体的なユースケースについて解説します。
企業が名寄せを必要とするシーンは、
- マルチチャネル顧客エンゲージメント戦略（顧客データの統合と管理）
- マーケティングキャンペーンの最適化
- 企業が統合された場合
- 企業内のデータガバナンスとデータ品質管理（データのプライバシーとセキュリティの確保）
など、多岐にわたります。
ここからは、それぞれについて詳しい内容を見ていきましょう。
マルチチャネル顧客エンゲージメント戦略（顧客データの統合と管理）
マルチチャネル顧客エンゲージメント戦略とは、複数チャネルで顧客エンゲージメントを高めていくための戦略を意味します。例えば、特定顧客に対してアプローチする際、電話やメール、 Web 広告など、様々な手法を組み合わせてアクションを行う場合などが該当します。
そして、マルチチャネル顧客エンゲージメント戦略を行うためには、各チャネルでのアプローチ結果を一元的に集約し、その結果を踏まえて次のアクションを検討する必要があります。つまり、同一顧客が複数レコードに分かれている状態では、効果的なマルチチャネル顧客エンゲージメント戦略を実現することはできず、名寄せによって顧客情報を綺麗に整理することが必要不可欠だと言えます。
マーケティングキャンペーンの最適化
マーケティングキャンペーンもマルチチャネル顧客エンゲージメント戦略と同様、各キャンペーンの実施結果をもとに次のアプローチを検討することが一般的です。そのため、データが綺麗に整理されていることが必須条件であり、効果的なマーケティングキャンペーンを実行する上では、データの名寄せが下準備として必要になります。
企業が統合された場合
企業統合などが発生した場合、データの名寄せが必要となるケースが多いです。なぜなら、統合前の企業データは営業活動やマーケティング活動において意味を為さず、統合された後の新会社の情報をシステムに登録すべきだからです。効率的に営業活動を進めていくためにも、企業が統合された場合はデータの名寄せで情報をアップデートしておくことをおすすめします。
企業内のデータガバナンスとデータ品質管理（データのプライバシーとセキュリティの確保）
昨今、企業が保有するデータ量は爆発的に増加し、その種類も多様化しています。そのため、効率的なデータガバナンスやデータの品質管理を実現するためには、名寄せによってデータを綺麗な状態で保持しておく必要があります。データの整理は情報のプライバシー・セキュリティ確保に直結するため、情報インシデントを防止する観点からも、データの名寄せは有効な手段であると言えるでしょう。
データを名寄せするための手順
データの名寄せを行うためには、適切なステップを順番に進めていく必要があります。本章では、データを名寄せするための手順を具体的な 4 ステップで解説します。
Step.1 データの抽出
まずは、名寄せの対象となるデータを抽出します。この時、名寄せの目的をあらかじめ明確化することで、最終的に完成するリストの精度向上に繋がります。目的が決まったら、名寄せ作業に必要な項目をピックアップし、データの抽出作業を進めてください。なお、「従業員数」と「従業員人数」のように、同義で異なる名称の項目が存在する場合は、どちらかの形式に統一してデータを抽出することで、以降の作業を効率化できます。
Step.2 データのクレンジング
データを抽出した後は、データのクレンジング作業に移ります。クレンジングとは、データ重複や表記揺れなどを発見し、必要に応じて情報の修正・削除を行うことを意味します。データの名寄せにおいて、クレンジング作業はデータの質を左右する重要なステップになるため、時間をかけて慎重に作業を進めてください。
参考記事：データクレンジングとは？重要性とやり方をわかりやすく解説
Step.3 データのマッチング
データのクレンジングが完了したら、次にデータのマッチングを行います。重複しているデータを 1 つにまとめ、情報を綺麗に整理してください。この時、まとめるデータごとに同一の ID を割り振ることで、効率的に重複データを削除できます。データのクレンジングと同様、マッチングもデータの質に影響する重要な作業であるため、漏れのないように慎重に作業を進めましょう。
Step.4 データの管理
データのマッチングが終われば、名寄せの作業は完了となりますが、その後は整理したデータを適切に管理する必要があります。社内でデータの取り扱いに関するルールを定めるなど、再びデータの重複・表記揺れが発生しないように工夫することが大切です。また、データの名寄せは一過性の取り組みではなく、定期的に実施してこそ価値が高まるため、その意識を持って日々のデータ管理を実践してください。
名寄せを行う際の3個の注意点
名寄せを行う際には、いくつか注意すべきポイントが存在します。本章では、名寄せを行う際の 3 個の注意点を解説します。
プライバシーとセキュリティの確保
名寄せのプロセスは個人情報や機密情報を含む可能性があるため、データのプライバシーとセキュリティを確保することが重要です。これらを考慮せずに作業を進めた場合、深刻な情報インシデントに発展するリスクがあるため、必ずデータの保護を意識しながら名寄せを行うように注意してください。
エラー処理と監視
前項でご説明した通り、名寄せを行う際には「いかにデータを安全に保護するか」という観点が重要になります。トラブル発生時に落ち着いて対処できるよう、名寄せプロセス中にエラーが発生した場合の処理方法を明確にし、プロセスを監視して問題を迅速に特定できるような体制を整えてください
変更管理
名寄せを行う際には、関係者全員が共通認識を持つことが重要なポイントになります。名寄せプロセスに伴う変更を適切に管理し、関係者に対して明確に伝えることで、データを綺麗な状態で継続的に保有することが可能になります。例えば、変更が生じた場合に関係者へ自動通知を送るなど、データを適切に管理・運用するための仕組みを整備することが大切です。
名寄せを成功させるためのポイント
名寄せを成功させるためには、具体的にどのような点を意識する必要があるのでしょうか？本章では、名寄せを成功させるためのポイントについて解説します。
目的を明確化する
名寄せを成功させるためには、作業を行う前に目的を定める必要があります。何のために名寄せするのかを明確化し、ゴールから逆算しながら作業を進めることで、計画的かつ迅速に名寄せを行うことができます。また、目的の明確化は関係者の認識統一にも寄与するため、この観点からも重要なポイントだと言えるでしょう。
社内ルールを整備する
名寄せを成功させるためのポイントの一つとして、社内ルールの整備が挙げられます。例えば、ファイル名や保管場所、表記方法などを社内でルール化することで、社員全員が共通認識のもと、適切なデータ管理を実践できます。仮にルールが存在しない場合、社員が各自の判断でデータ登録を行なってしまい、再び重複や表記揺れが発生するリスクがあるため、名寄せの効果を最大化するためには、社内ルールの整備が必要不可欠だと言えます。
IT ツールを活用する
名寄せのもとになるデータは容量が大きいことが多く、それらを手動で名寄せ作業することは非常に大きな工数が掛かります。そのため、名寄せを効率的に進めるためには、 IT ツールの活用が有効な選択肢になります。具体的なツールとしては「 SanSan 」や「名寄せフォーミー」などが挙げられます。名寄せフォーミーに関しては次章で詳しく解説していますので、ぜひ参考までにご覧ください。
名寄せ作業には「名寄せフォーミー」がおすすめ
名寄せを行う際には IT ツールの活用が有効であることを前述しました。名寄せに利用できるツールは複数存在しますが、せっかく導入するのであれば「名寄せフォーミー」がおすすめです。
本章では、名寄せフォーミーがおすすめな理由についてご説明します。
高鮮度・高精度なクレンジングを実現できる
名寄せフォーミーを活用することで、企業クレンジングしたコンタクトと会社の紐づけを自動化し、高鮮度・高精度な顧客情報を実現できます。これにより、今までは困難であった詳細なセグメンテーション分析やメール配信などに顧客情報を活用でき、自社の営業活動・マーケティング活動の効率化に大きく寄与します。
最大 34 項目の企業データベースを採用している
名寄せフォーミーの強みの一つとして、リッチな企業データベースを採用している点が挙げられます。名寄せフォーミーは、採用実績 200 社以上（ 2023 年 5 月時点）を誇る「株式会社 B-Story 」の企業データベース「 ST&E 」を利用しており、最大 34 項目、計 720 万件を超える企業が登録されているため、豊富な企業データを自社の名寄せ作業に活用できます。
HubSpotとセット販売されている
名寄せフォーミーは HubSpot とセット販売されている点が大きな特徴の一つです。 HubSpot とは、 HubSpot Japan 株式会社が提供しているツールであり、マーケティングを総合的に促進させる CRM プラットフォームです。目的に応じて利用できる様々な機能が一気通貫で搭載されています。
参考記事：わかりやすい！HubSpotの料金体系をプランごとに徹底解説
例えば、マーケティングや営業、コンテンツ管理、カスタマーサービスなど、 HubSpot がカバーしている領域は多岐にわたります。また、これらの業務をスムーズに繋ぐためのソフトウェアや連携機能、リソースなどを備えている点も HubSpot の大きな特徴の一つとなっています。
そして、名寄せフォーミーは HubSpot とセットで導入可能なため、名寄せフォーミーで作業した綺麗なデータを HubSpot でそのまま活用でき、高精度かつ手間の少ないマーケティング活動を実践できます。例えば、名寄せフォーミーのデータを HubSpot のプロパティやアクティビティーと掛け合わせれば、高精度なメール配信や架電リスト作成が可能になります。
なお、既に他の CRMやMA ツールを導入している場合でも、開発費の負担のみで連携できる点も魅力的なポイントだと言えるでしょう。
なお、名寄せフォーミーに関しては、HubSpotアプリによる企業クレンジング「名寄せフォーミー」にて詳細を確認することができます。
まとめ
本記事では、データの名寄せや表記揺れの概要に加えて、ユースケースや具体的な手順まで一挙に解説しました。
企業が効率的なデータ活用を進めるためには、自社が保有するデータを綺麗に整理された状態で保管する必要があります。そして、データを整理する上では、名寄せが有効な手段の一つであり、名寄せを行うことで様々なメリットを享受できます。
ただし、名寄せを行う際は適切なステップを順番に進める必要があり、様々な注意点にも気を配らなければいけません。この記事を読み返して、重要なポイントを理解しておきましょう。
そして、名寄せ作業の効率的には名寄せフォーミーがおすすめです。高鮮度・高精度なクレンジングやリッチなデータベースなどのメリットに加えて、 HubSpot とセット販売されているため、 2 つのツールを組み合わせて使うことで、自社のマーケティング活動を大幅に効率化できます。
名寄せはそれ自体が目的ではなく、効果的なマーケティング活動をするための手段であると言えます。弊社では、マーケティング活動の効果を最大化するための各種サポートを提供しているため、マーケティング領域で課題意識を感じられている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、弊社 クリエイティブホープ は HubSpot のプラチナパートナーにも認定されており、お客様に対して様々な HubSpot の導入・活用サポートを提供しています。さらに、知識・経験が豊富な HubSpot 資格取得者が多数在籍しているため、名寄せ作業も含めたあらゆる観点から、実践的なアドバイスをさせていただきます。
「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。
こちらの問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。入力内容を確認した上で、担当者から改めてご連絡させていただきます。強引やしつこいセールスは一切ございませんので、ご安心ください。
本記事を参考にして、名寄せフォーミーと HubSpot の導入・活用を検討してみてはいかがでしょうか？
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