採用マーケティングとは?メリットや具体的なやり方を徹底解説!

昨今、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめとする様々な社会情勢の変化に伴い、採用市場の状況も大きく変化しています。企業の採用担当者の中には「従来の手法が通用しなくなった」と、人材雇用について悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

このような状況を打破するための新たなアプローチとして、採用マーケティングが大きな注目を集めています。本記事では、採用マーケティングの概要や具体的なやり方、成功させるためのポイントなどを一挙にご説明します。

採用マーケティングとは?

まずは、採用マーケティングの概要について理解しておきましょう。採用マーケティングとは、人材採用にマーケティングの考え方を反映した新しい採用手法の一つです。

通常のマーケティングでは、見込み客の受注確度を高めるための各種施策を実行し、自社に対する認知度向上や関係性の強化などを図ることが主な目的です。一方、採用マーケティングにおいては、マーケティングの対象となるのは採用候補者であり、その人材が「自社で働く価値」を最大化することを目的としています。

つまり、採用マーケティングとは、採用候補者への様々なアプローチを通して自社のファンになってもらい、自社で働くことのモチベーションを高めることで、採用候補者からの応募を多く集めるための取り組みだといえます。

採用ブランディングとの違い

なお、採用マーケティングと混同しやすい言葉として「採用ブランディング」が挙げられます。採用ブランディングとは、採用候補者に対して自社の企業文化などを継続的に発信することで、ブランドイメージを定着化させるための取り組みです。

アプローチ対象が採用候補者である点は両者とも共通していますが、採用マーケティングは応募者の増加を目的としているのに対して、採用ブランディングの目的はあくまで自社のブランドイメージを植え付けることです。

このように、採用マーケティングと採用ブランディングは明確に異なるものです。両者を混同しないように、それぞれの違いを正しく理解しておきましょう。

採用マーケティングが注目される理由と従来の採用管理における課題

従来の採用管理における代表的な課題として、「自社にマッチした優秀な人材がなかなか見つからない」という点が挙げられます。企業の採用担当者は、当然ながら優秀な人材を入社させたいと考えますが、それは容易なことではありません。

また、労働人口の減少も従来の人材採用における大きな課題の一つとなっていました。現代の日本は少子高齢化が進んでおり、パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には644万人もの人材が不足するとの算出結果が公表されています。

そして、数多くの企業が会社説明会やWeb広告などを駆使して人材募集を行っていますが、これらの施策を打つためには人的・経済的リソースが必要になるため、採用コストが経営を圧迫してしまいます。このような背景から、近年では新たな人材採用のアプローチが求められるようになり、現状を打破するための手段として採用マーケティングが注目を集めるようになりました。

出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030

採用マーケティングのメリット3つ

ここまで、採用マーケティングの概要について解説しましたが、企業が採用マーケティングを実践することで、具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか?

本章では、採用マーケティングの代表的なメリットについてご説明します。

1. 自社に適した人材を見つけやすくなる

採用マーケティングでは、採用候補者の属性や行動履歴に応じてターゲットを絞り、様々な施策を使い分けながらマーケティング活動を実践します。そのため、不特定多数に対して広くアプローチを行う場合と比較して、自社の考え方や企業文化に共感してくれる人材を多く集められる可能性が高まります。そして、このような人材は入社後の退職リスクも低いと考えられるため、採用担当者にとっては貴重な存在だといえます。

2. 応募人員が増加しやすくなる

採用マーケティングは、採用候補者が自社で働くことの価値を最大化するための取り組みです。そのため、採用マーケティングの実践により、自社の求人募集に対する応募人員が増加しやすくなります。労働人口が減少している日本の現状を踏まえると、この点は採用マーケティングの大きなメリットだといえるでしょう。

3. 採用コストを削減できる

採用マーケティングは、採用コストの削減にも大きく寄与します。例えば、採用マーケティングで自社に対する関心度を見える化することで、「関心度の低い採用候補者には広告を打たない」などの判断が可能になり、余計なコストを抑えることができます。このように、採用マーケティングは採用担当者目線でのメリットがあるのはもちろんですが、自社の経営状況の改善にも役立つ取り組みであることを覚えておいてください。

採用マーケティングのやり方

採用マーケティングは、企業にとってメリットの多い取り組みですが、具体的にどのように進めればいいのでしょうか?本章では、採用マーケティングのやり方を重要なポイントとともに5ステップで解説します。

Step.1 自社の分析

採用マーケティングのスタート地点は自社分析です。なぜなら、自社の特徴や強みなどが不明瞭な状態では、採用候補者に対して適切なアプローチを行うことが難しいためです。様々な角度から自社を分析し、応募者が求めているような情報を揃えてください。

この時、3C分析などのフレームワークを利用することで、自社分析をスムーズに進めることができます。3C分析とは、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの観点から状況を整理し、自社が置かれている環境を漏れなく把握するための分析手法の一つです。

3C分析以外にも様々なフレームワークが存在するため、状況に応じて使い分けることをおすすめします。

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Step.2 ターゲットの明確化

自社分析が完了したら、次は具体的なターゲットを明確化します。採用候補者の属性情報などをもとにして、自社がアプローチすべき(雇用したい)人材をリスト化しましょう。この時、自社採用ページへのアクセスなど、Web上の行動データを組み合わせることで、ターゲティングの精度をより高めることが可能です。

Step.3 求職者ジャーニーの設計

求職者ジャーニーとは、求職者が就職先企業に関心を持ち、その会社に関する情報収集を行い、最終的に求人応募するまでの一連の流れを意味する言葉です。なお、通常のマーケティングでは「カスタマージャーニー」という用語が用いられることが多く、これは顧客が自社商品に関心を持ってから、購入するまでの全体の流れを表すものです。

そして、採用マーケティングにおいては、求職者ジャーニーがとても重要な要素になります。求職者の属性ごとに求職者ジャーニーを分けて設計し、様々な施策を使い分けながらアプローチを行うことで、自社で働くことのモチベーションを高められます。

なお、求職者ジャーニーの設計は、あくまで求職者目線で行うことが大切です。何も考えずに作業を行った場合、無意識に採用担当者(企業)目線の内容になってしまうため、常に「求職者はどう感じるのか」という点を意識しながら、求職者ジャーニーの設計を進めてください。

また、求職者ジャーニーと混同しやすい言葉として「ファネル」が挙げられます。ファネルはマーケティング用語の一つであり、顧客が商品を認知してから購入に至り、その後の利用継続や口コミ・紹介など、購入後の顧客行動も含めた一連のプロセスを図式化したフレームワークのことです。

採用マーケティングにおいては、企業を認知してから選考を経て入社し、部署配属後の活躍や他者への紹介など、入社後の行動も含めた全体の流れをファネルとして定義します。ファネルは大まかな流れを把握するために用いられるのに対して、求職者ジャーニーは認知から求人応募までのプロセスを細分化し、より具体的な施策を検討するために利用されます。

Step.4 コンテンツの企画

求職者ジャーニーが完成した後は、具体的なコンテンツの企画に移ります。ここで言うコンテンツとは、Web広告やメール配信など、求職者に対してアプローチするための手段・内容のことです。なお、求職者の目線に立った施策が打てるよう、自社の若手社員や新入社員などに意見を聞くことも有効な選択肢になります。

Step.5 施策の実行・改善

具体的なコンテンツが固まったら、いよいよ求職者ジャーニーに沿って施策を実行します。ここで重要なことは、採用マーケティングは一過性の取り組みではなく、何度も繰り返すことで精度が高まるという点です。継続的にPDCAサイクルを回しながら、効果が出るまで粘り強く実践してください。

採用マーケティングを成功させるためのポイント

採用マーケティングを成功させるためには、意識すべき重要なポイントがいくつか存在します。本章では、採用マーケティングを成功させるためのポイントについて解説しますので、ぜひ自社で実践する際の参考にしてください。

自社の強み・弱みを理解する

採用マーケティングを成功させるためには、自社の強み・弱みを理解することが必要不可欠です。これにより、求職者に対して自社の魅力を適切に伝えることが可能になり、採用マーケティングの効果を最大化できます。

そして、自社の強みや魅力を求職者目線のメリットに変換することも大切です。自社で働くことで、具体的にどのような恩恵を得られるのか、求職者の立場で考えて、具体的なイメージが湧くように工夫してください。

応募者のニーズを把握する

採用マーケティングを実践する上で、応募者ニーズの把握は重要なポイントになります。なぜなら、応募者に対して適切なアプローチを行うためには、その応募者が何を求めているのかを理解する必要があるからです。

加えて、採用マーケティングは不特定多数に対して同一施策を一斉に行うのではなく、ターゲットの属性や関心に応じて、様々なアプローチ手法を駆使しながらアクションを実行します。そのため、応募者ニーズを把握することの重要性は益々高まるといえるでしょう。

ITツールを活用する

採用マーケティングでは、求職者の年齢や性別、学歴、志望動機など、膨大な情報を一元的に管理し、それらをもとに具体的なアクションを検討します。しかし、これらのデータを手作業で管理するのは大きな工数が発生し、自社の生産性が低下する原因になります。

また、場合によってはターゲットに対して一斉メールを配信することも珍しくありませんが、データ管理と同様に手作業で行うのは大きな負荷になるでしょう。このようなデータ管理やマーケティング作業を効率化するためには、ITツールの活用が有効な選択肢になります。

ITツールを活用することで、自社の業務効率化や生産性向上に繋がり、結果として採用マーケティング成功への近道になります。次章でおすすめのITツールについて解説していますので、参考までにご覧ください。

採用マーケティングには「HubSpot」がおすすめ

市場には様々なITツールが存在しますが、せっかく導入するのであれば「HubSpot」がおすすめです。HubSpotを上手く活用することで、効率的な採用マーケティングを実現できます。

HubSpotとは?

HubSpot(ハブスポット)は「HubSpot Japan 株式会社」が提供しているツールであり、マーケティングを総合的に促進させるプラットフォームです。

HubSpotには「Sales hub」というSFAツールや「marketing hub」というMAツールなど、様々な機能が一気通貫で提供されています。そして、HubSpotにはATS(Applicant Tracking System:採用管理システム)の機能も搭載されており、採用マーケティングを実践する上でとても便利なツールとなっています。

例えば、HubSpotには「取引」という機能が存在しますが、この取引機能で採用管理用のパイプラインを作成することで、応募者のステータスを見える化できます。具体的な運用例としては、応募者の状態を「応募」「履歴書送付待ち」「書類選考」「一次面接の日程調整中」などのステータスに分けて管理するイメージです。

また、HubSpot上で応募者名をクリックすることで、応募者に関する様々な情報を確認できるように設定することも可能です。さらに、HubSpotをSlackと連携すれば、応募が届いた際に採用担当者へ自動通知を送るような運用を実現できます。

加えて、HubSpotのアナリティクス機能を使えば、希望職種や求人媒体ごとにレポートを作成し、採用に関する様々なデータを分析することも可能です。このように、HubSpotは採用マーケティングを実現するための有効なツールであるといえるでしょう。

なお、HubSpotの有料プランの料金は機能ごとに定められているため、自社の利用目的や使い方に応じて金額が変動します。HubSpotの料金体系は以下の記事で詳しく解説していますので、関心のある方は参考までにご覧ください。

関連記事:わかりやすい!HubSpotの料金体系をプランごとに徹底解説

HubSpotが採用マーケティングにおすすめな理由

HubSpotが採用マーケティングにおすすめな理由として、ATSテンプレートが挙げられます。これは、採用候補者別の進捗状況をひとつのシート上で把握できるものであり、応募者数や採用率が求人媒体別に表示されるため、採用コストの削減にも役立ちます。ATSテンプレートは無料で利用できる点も嬉しいポイントだといえるでしょう。

また、誰にでも使いやすいユーザーインターフェースもHubSpotの大きな特徴です。採用マーケティングに求められる様々な操作を直感的に行うことができるため、自社の業務効率化や生産性向上に直結します。

さらに、HubSpotにはATS以外にも様々な機能が搭載されているため、これらを上手く連携させることで、採用マーケティングをより効率的に進めることができます。例えば、CRM機能で応募者情報や選考フローなどを一元管理したり、MA機能で応募者に対してメールを一斉配信することも可能です。

このように、HubSpotを活用することで、採用マーケティングの効率化や精度向上などを実現できます。ご興味のある方は、HubSpot公式HPでツールの詳細を確認してみてください。

まとめ

企業が採用マーケティングを実践することで、応募人員の増加や採用コストの削減など、様々なメリットを享受できます。また、自社に適した人材を探す上でも、採用マーケティングが心強い武器になるといえるでしょう。

ただし、効果的な採用マーケティングを行うためには、正しいプロセスを順番に進めていく必要があります。この記事を読み返して、具体的な流れや重要なポイントを理解しておいてください。

もし、本格的に採用マーケティングを始めたい場合は、ITツール(ATS)を導入すると良いでしょう。ATSには、採用マーケティングに役立つ機能が多く搭載されているため、効率的かつ高品質な採用マーケティングを実現できます。

そして、せっかくツールを導入するのであればHubSpotがおすすめです。ATSテンプレートや使いやすいインターフェースなど、ユーザーにとって嬉しいポイントが数多く存在し、自社の採用マーケティングを力強く促進してくれます。

弊社はHubSpotのプラチナパートナーであり、導入を検討されている企業様に対して、戦略立案から運用まで幅広いご支援をいたします。

導入をご検討されている場合は、こちらのページよりお気軽にお問い合わせください。入力内容を確認した上で、担当者から改めてご連絡させていただきます。強引やしつこいセールスは一切ございませんので、ご安心ください。

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