商談リサイクルとは?陥りがちな課題や具体的な進め方を徹底解説!

一般的に、新規リードを受注に結び付けるためには、既存顧客からの受注と比較して 5 倍程度の工数が必要になると言われています。そのため、既存顧客に対するアップセル・クロスセルの施策を積極的に行っている企業は少なくありません。

それでは、商談の結果として、失注に終わってしまったリードの情報をうまく活用できていますでしょうか?ここで Yes と即答できなかった方は、この記事を読むことで、自社の営業活動を効率化することが可能になります。

本記事では、過去に商談まで行ったリードに対して再度アプローチを行い、商談を再創出するための活動「商談リサイクル」の概要や課題、具体的な進め方などを一挙に解説します。

なお、この記事に掲載している内容は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つです。そのため、記事を読んだ後、すぐに行動に移せるような実践的な内容であり、リードの案件化数の増加にも繋がるため、ぜひ最後までご覧ください。

商談リサイクルとは?

商談リサイクルとは、過去のリードに対して再度アプローチを行い、商談を再創出するための活動のことです。商談リサイクルはインサイドセールスが行うことが多く、過去の商談で「見送り」や「失注」など、受注に結び付かなかった案件を対象とするため、「掘り起こし」という言葉で表現されることもあります。

関連記事:インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化!トスアップフローの具体的な設計方法を6ステップで解説

商談リサイクルの実践により、新規顧客を開拓することなく、既存の商談情報を利用して新しい商談を生み出すことができます。このように、自社の営業活動を効率化できる点は、商談リサイクルの大きなメリットであると言えます。

なお、商談リサイクルについて考える際には、失注や見送りなど、似た用語が使われることが多いですが、本記事ではそれぞれを以下のように定義します。

用語 定義
失注 一度商談になったが、比較検討の結果、他社製品を導入した
見送り 一度商談になったが、何らかの理由で導入自体が帳消しまたは延期になった
ロスト 失注および見送りの総称
用語 定義
失注 一度商談になったが、比較検討の結果、他社製品を導入した
見送り 一度商談になったが、何らかの理由で導入自体が帳消しまたは延期になった 毎月 10 GB まで無料
ロスト 失注および見送りの総称

上記を前提として、次章以降で商談リサイクルについて詳しく見ていきましょう。

商談リサイクルが求められる理由

ここまで、商談リサイクルの概要について解説しましたが、なぜ商談リサイクルが重要な取り組みであると言えるのでしょうか?本章では、商談リサイクルが求められる理由を 2 つご紹介します。

効率的に商談創出を行うため

商談リサイクルは、過去に商談を行ったことのあるリードに対してアプローチします。そのため、既に一定の顧客情報を保有している可能性が高く、それらを活用することで効率的な商談創出に繋がります。

例えば、 BANT 情報をヒアリングできていれば、商談をスムーズに進めることが可能ですし、顧客と信頼関係を構築できている場合は、商談において有利に働くでしょう。このように、ゼロから商談創出を行うケースと比較して、途中の営業プロセスを簡略化できる点は、商談リサイクルの大きなメリットになります。

なお、 BANT 情報とは、

  • Budget :予算
  • Authority :決定権
  • Needs :必要性
  • Timeframe :導入時期

の 4 つの英単語の頭文字を取った言葉であり、商談を進めるために必要とされている 4 つの要素のことです。

また、商談リサイクルを実践して休眠顧客への掘り起こしを行う場合、新規顧客の開拓に比べて、営業コストが 5 分の 1 で済むと言われています。この「 1 : 5 の法則」からも理解できるように、商談リサイクルは自社のリソース節約やコスト削減に直結する重要な取り組みであると言えるでしょう。

ターゲット企業からの商談を効率的に獲得するため

特定の業界・企業のみを狙った製品の場合、ターゲットとなる企業数が限定されているため、新規リードを獲得し続けたとしても、将来的に成果が頭打ちになってしまいます。このような場合、既存リードから新たな商談を創出できる商談リサイクルは、とても有効な手段になります。

例えば、ターゲット企業の総数が 800 社の場合について考えてみましょう。そして、そのうち 600 社をターゲットリードとして獲得しており、その中で 100 社は既に受注済み、残り 500 社は商談後に失注したと仮定します。この時、残り 200 件の新規リードよりも失注した 500 件のリードの方が分母が大きいため、より多くの商談を創出できる可能性が高まります。

なお、米シリウスディシジョンズ社(現 Forrester 社)の調べ(※)によれば、営業担当が失注と判断した商談の 8 割が、 2 年以内に競合他社の製品を導入したとの調査結果が発表されています。つまり、営業担当が失注と判断した場合でも、適切なフォローを実施することで、受注に繋がる可能性は大いにあると言えるでしょう。

※参考:日経 X TECH 「第34回 放置した見込み顧客の8割が2年以内に競合に流れる?

商談リサイクルで陥りがちな課題

次に、商談リサイクルで陥りがちな課題を 3 つご紹介します。自社で実践する際に困ることがないよう、ぜひ参考までにご覧ください。

過去商談の分析をせずにリードへアプローチしてしまう

商談リサイクルは過去にロストした商談に対して再度アプローチを行うため、過去にロストした理由・原因を分析することが大切です。過去のロスト原因を解消しないままアプローチした場合、再度同じ内容がボトルネックになるリスクがあります。

そのため、商談リサイクルを効率的に進めるためには、過去商談の分析が重要なポイントになると言えるでしょう。顧客へアプローチする前に、必ず過去の商談結果を確認し、事前準備を入念に行った上でアクションするように心掛けてください。

過去商談のロスト理由がわからずに解決方法を特定できない

前述した通り、商談リサイクルを進める際には過去商談の分析が必要不可欠です。しかし、過去商談のロスト理由がわからない場合、解決方法を特定することは困難になります。そして、過去の営業担当者が商談内容を適切に記録していない場合、このような事態に陥るケースが多いと言えます。

そのため、営業が商談結果を入力しやすいような SFA ツールを導入するなど、商談リサイクルを効率的に進めるための環境整備も重要なポイントになります。また、ツールの導入とあわせて、社員が商談情報を入力する際の運用ルールを作成することも大切です。

関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや導入時のポイントなどを徹底解説!

リサイクルの対象商談が古すぎる(または新しすぎる)

リサイクルの対象となる商談が古すぎる場合、様々な状況変化が起きている可能性が高いと言えます。例えば、当時のクライアント担当者が退職済みで新しい担当者を探す必要があったり、クライアントの事業計画が変更されて当時の BANT 情報が意味を為さなかったりするケースなどが該当します。

また、リサイクルの対象商談が新しすぎる場合にも注意が必要です。代表的な例として、一般的な SaaS サービスは最低利用期間が定められていることが多く、この期間内に再度アプローチを実施したとしても、商談を受注へ結びつけることは難しいと言えるでしょう。

このように、リサイクルの対象商談が古すぎたり新しすぎたりする場合、商談リサイクルを効率的に進められないケースが存在します。前回の商談時期を考慮した上で、優先順位を付けながら商談リサイクルを進めるように意識してください。

商談リサイクルの具体的な進め方

最後に、商談リサイクルの具体的な進め方を 5 ステップでご説明します。ぜひ、自社で実践する際の参考にしてください。

Step.1 ロスト原因の洗い出し

まずは、ロスト原因の洗い出しを行うことが商談リサイクルへの第一歩です。直近 1 年で行った商談を抽出し、ロスト原因が BANT-C のどれに起因するのかを整理してください。

以下、参考までに BANT-C のそれぞれに起因するロスト原因例を記載します。

  • Budget :料金プランが予算上限よりも高かった
  • Authority :導入推進していた役員が退任した
  • Needs :先方要件を自社製品の機能で満たせなかった
  • Timing :先方内で緊急性の高いプロジェクトが浮上し、商談が後回しになった
  • Competitor :他社製品の導入が決定した

このように、ロスト原因が BANT-C のどれに該当するのかを洗い出します。

一般的には、 Competitor が原因となってロストしたものを失注、それ以外の原因でロストしたものを見送りと定義します。なお、ロスト原因が不明なものに関しては、この段階では一旦除外して考えると良いでしょう。

Step.2 ロスト原因の解消方法の決定

ロスト原因の洗い出しが完了した後は、そのロスト原因を解消するための方法を検討します。例えば、 Budget が理由でロストした商談については、再提案に向けて割引プランを用意するなど、具体的な対策を考える必要があります。

商談リサイクルは、既にロストした商談に対して再度アプローチを行うため、過去のロスト原因への対策が商談を受注へ導くための重要なポイントになります。そのため、時間をかけて慎重に検討してください。

Step.3 アプローチ時期と担当者の決定

次に、アプローチ時期と担当者を決定します。過去の商談情報を踏まえて、適切な時期・担当者を検討してください。

商談リサイクルはリードや案件を横断して営業全体で取り組む施策であるため、 Step.1 〜 Step.3 のプロセスは企業・商談の担当営業ではなく、営業マネージャーや営業企画など、全体を俯瞰できるポジションの人間が実施することが望ましいと言えます。

また、ロスト原因の解消時期が明確であれば、解消後にアプローチすれば問題ありませんが、解消時期が不明瞭な場合は、以下の優先順位を参考にしてアプローチ時期を決定してください。

  1. Timing
  2. Budget
  3. Authority / Competitor
  4. Needs

Timing や Budget の優先順位が高いのは、 Needs や Authority など他の条件を満たしており、アプローチのタイミング・金額だけ調整すれば良いため、自社側で商談をコントロールしやすいからです。逆に、 Authority や Competitor は顧客側の状況に大きく左右される要素であるため、必然的に優先順位は低くなります。

なお、 Needs に関してはクリティカルなロスト原因を抱えていることが多く、自社製品やリード状況の変化を待たずに再アプローチを実施しても再商談にならない可能性が高いため、優先順位は最下位となっています。

Step.4 アプローチの実施

アプローチ時期と担当者を決定したら、顧客に対してアプローチを実施します。過去の商談情報やロスト原因に対する解決策を事前にチェックし、入念に準備を行った上でアプローチを実行に移してください。

この時、既に先方の役職者と関係が構築できている場合は、初回から自分の上司をアポイントに同席させるなど、商談を受注へ結び付けるための様々な工夫を施すことが重要なポイントになります。

Step.5 ロスト原因が分からない過去商談の仮説設定

最後に、後回しにしていた「ロスト原因が分からない過去商談」に対して、具体的な仮説設定を行います。直近 1 年間で行った商談を抽出し、商談リサイクルの対象とすべく準備を進めてください。

この時、先方の事業内容や Web サイト、過去の商談議事録など、確認できる情報をすべて駆使して、ロスト原因と思われる要因とその解決方法を仮説として設定します。例えば、数人規模の中小企業の場合、予算に余裕がなく Budget がロスト原因になった可能性が高いため、ロスト原因の解消方法として割引プランを用意するケースなどが該当します。

ただし、この段階では仮説の正しさを確認できないため、仮説設定に大きな工数をかける必要はありません。仮説を設定した後は、上記 Step.3 と同じ要領でアプローチ時期と担当者を決定し、顧客への提案を進めていきます。

まとめ

本記事では、商談リサイクルの概要や課題、具体的な進め方などを一挙に解説しました。

商談リサイクルを実践することで、過去の商談情報を有効活用し、効率的に営業活動を進めることが可能になります。この記事を読み返して、重要なポイントや具体的な進め方を理解しておきましょう。

そして、商談リサイクルを行うためには、適切なステップを順番に進めていく必要がありますが、 HubSpot 社が提供する IT ツール「 HubSpot 」を活用することで、効率的な営業リサイクルを実践できます。

例えば、 HubSpot にロスト原因を入力しておけば、過去のロスト商談をロスト理由とともにレポートで一覧表示できるため、商談リサイクルの対象を効率的に選定することが可能です。

また、 HubSpot でリードのアクションに応じたトリガー設定を行い、担当営業へ能動的に知らせるワークフローを組んでおけば、ターゲットが資料請求を行ったタイミングで担当営業に対して Slack 通知を自動送付するような仕組みも実現できます。

このように、 HubSpot を活用することで、商談リサイクルを円滑かつ迅速に実行できるようになり、自社の業務効率化や生産性向上に繋がります。商談リサイクルを実践する際には、 HubSpot が有効なツールの一つになると言えるでしょう。

なお、今回ご紹介した施策は、弊社クリエイティブホープが実施・提案しているリードマネジメント施策の一つになります。この他にも、様々な施策を用意しており、複合的に各種施策を実施することで、リードの案件化数を効率的に増加させることも可能です。

リードマネジメントに関してお困りごとがあれば、こちらの問い合わせフォームより、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、弊社クリエイティブホープは HubSpot のパートナーにも認定されているため、 HubSpot に関するご相談にも柔軟に対応できます。

関連記事:わかりやすい!Hubspot導入支援パートナーの役割と選び方を解説

「このままではデジタルテクノロジーから取り残されてしまう…」と危惧されている企業様こそ、ぜひご相談ください。

本記事を参考にして、商談リサイクルの実践および HubSpot の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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