テキストマイニングという言葉をご存知でしょうか?膨大なテキストデータから有益な情報を抽出・分析する手法のことであり、企業がテキストマイニングを活用することで様々なメリットを享受できます。
本記事では、テキストマイニングの概要や分析手法、具体的なやり方、成功事例などを一挙にご紹介します。自社でテキストマイニングを検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
テキストマイニングとは?
はじめに、テキストマイニングという言葉の意味を理解しておきましょう。テキストマイニングとは、テキストデータをもとに有益な情報を抽出・分析する手法のことです。
情報技術の急速な発展に伴い、世の中には膨大な量のテキストデータが存在しています。例えば、自社が集めたアンケート結果やWeb上での顧客の口コミ、SNS投稿などもテキストデータに該当します。
そして、これらのテキストデータを収集・分析することで、顧客ニーズの把握や自社の業務改善などに繋げることができます。新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により、顧客ニーズの高度化・多様化が進む現代においては、自社のビジネス成長を実現する上でテキストマイニングが有効な手段の一つであるといえるでしょう。
なお、テキストマイニングと似た言葉として「データマイニング」が挙げられますが、両者は明確に異なるものです。データマイニングは文章以外のデータも分析対象に含めているのに対して、テキストマイニングの分析対象はテキスト(文章)のみです。そのため、テキストマイニングはデータマイニングに内包されていると考えるとイメージしやすいと思います。
テキストマイニングの分析手法
一口にテキストマイニングと言っても、その分析手法は多岐にわたります。そして、自社の目的や扱うデータに応じて選択すべき分析手法は異なるため、それぞれの違いを理解することが大切です。
本章では、テキストマイニングの代表的な分析手法を具体的な活用シーンとあわせてご紹介します。
センチメント分析
センチメント分析とは、テキストデータから顧客の感情を読み取る手法であり、一般的には「肯定的」「否定的」「中立的」の3つの軸で顧客を分類します。センチメント分析を行うことで、顧客のテキスト入力時の感情を把握でき、その後の適切なアクション検討に繋がります。主にアンケート結果やSNS投稿などを分析する際、センチメント分析が用いられることが多くなっています。
共起分析
共起分析とは、テキスト内で同時に使用されている2つの単語の頻出度を元に、顧客のニーズや商品に対するイメージなどを読み取る手法です。例えば、寝具に対して調査する場合、「枕」という単語に対して「フカフカ」「柔らかい」などの単語を組みあわせて分析します。そして、「枕」と同時に出てくる単語の共起率を調査することで、顧客が商品に対して抱いているイメージや感想などを見える化できます。
対応分析
対応分析とは、クロス集計の項目の関係を視覚的に見える化するための分析手法であり、別名「コレスポンデンス分析」とも呼ばれています。対応分析では、設問をかけあわせて作成するクロス集計の元データを散布図で表現することで、項目同士の関係性を分かりやすく把握できます。なお、対応分析の代表的な活用シーンとしては、企画書やブランドのイメージ分析などが挙げられます。
主成分分析
主成分分析とは、数多く存在する項目を少数項目に置き換える分析手法であり、主にビッグデータ分析などに活用されることが一般的です。ビッグデータには膨大な項目が存在するため、主成分分析で項目数を削減することで、その後の分析作業を円滑に進められるようになります。ただし、主成分分析は項目を取捨選択する必要があることから、慎重な判断が求められる点には注意が必要です。
テキストマイニングでできること
テキストマイニングでできることは多岐にわたりますが、具体的にビジネスに対してどのような影響を与えるのでしょうか?本章では、テキストマイニングでできることについて、3つのポイントに絞って分かりやすくご説明します。
顧客ニーズの把握
顧客が入力したテキストは「顧客の生の声」であり、これらをテキストマイニングで分析することで、顧客ニーズの把握に繋がります。そして、分析結果をもとに具体的な戦略を検討すれば、顧客目線に立った有効なアクションを打ち出すことができ、顧客満足度の向上や解約抑止などに直結します。このように、テキストマイニングは顧客とのリレーション強化においても重要な役割を担っていると言えるでしょう。
自社課題の見える化
テキストマイニングを活用することで、これまで気付けなかった自社課題を発見できる可能性が高まります。近年はWeb上の口コミ投稿やSNS投稿などが頻繁に行われているため、これらの情報を積極的に収集してテキストマイニングで分析することで、顧客の生の声をベースに自社の課題や弱みを見える化でき、今後の運用改善に繋げることが可能になります。
将来予測
テキストマイニングは過去を振り返るだけではなく、将来予測にも大きく貢献します。例えば、自社商品のアンケート結果をテキストマイニングで分析し、その顧客の属性情報(年齢・性別・居住地域など)と組み合わせることで、将来のリピート率などを大まかに把握できます。このように、テキストマイニングは将来的な戦略策定を行う際にも、有効に活用できることを覚えておいてください。
テキストマイニングのやり方
本章では、テキストマイニングの具体的な進め方を5ステップで解説します。各ステップで意識すべき重要なポイントについてもご説明していますので、自社で実践する際の参考にしてください。
Step.1 データを収集する
テキストマイニングを実践するためには、分析対象となるデータを用意しなければいけません。顧客の属性情報や口コミ、SNS投稿など、様々なチャネルからデータを収集してください。
この時、闇雲にデータを集めるのではなく、自社にとって必要なデータのみに絞ることが大切です。データを取捨選択することで以降の分析作業を円滑に進められるため、自社の目的やKPIに応じて「どのようなデータを収集すれば良いのか」を慎重に検討しましょう。
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Step.2 データを整理する
必要なデータを収集したら、次はそれらのデータを綺麗に整理します。具体的な作業内容としては、誤字脱字の修正やデータフォーマットの統一などが挙げられます。
データを整理することで、必要な情報を必要なタイミングで抽出できるようになります。データの整理はテキストマイニングの作業効率を大きく左右するため、非常に重要なプロセスの一つであるといえます。
Step.3 非構造化データを構造化データへ変換する
多くのチャネルから様々なテキストデータを集めた場合、分析対象が非構造化データである可能性も少なくありません。なお、非構造化データとはExcelで言うところの「列」や「行」を持たない生のデータであり、単体では意味を為さないものとして捉えられています。
そして、非構造化データに対して、列・行を持った意味のあるデータは構造化データと呼ばれており、テキストマイニングをはじめとしたデータ分析においては、構造化データを分析対象とすることが一般的です。
そのため、実際の分析作業に入る前に、非構造化データを構造化データに変換するステップが必要になります。テキストマイニングの下準備として重要なポイントになりますので、確実に内容を理解しておきましょう。
Step.4 データを分析する
事前準備が整ったら、いよいよデータ分析のステップに移ります。収集・整理したデータを分析し、自社にとって有益なインサイト(洞察)を抽出してください。
この時、様々な角度からデータ分析を行うことが重要なポイントになります。同じデータを取り扱っているとしても、分析の手法・観点を変えるだけで、新たな発見に繋がるケースも珍しくありません。
そのため、データ分析は一度実施して終わりではなく、何度も観点を変えて多角的に繰り返し行うことが大切です。もちろん手間は掛かりますが、テキストマイニングの効果を最大化するためには必要不可欠なプロセスであるといえます。
Step.5 分析結果をもとにアクションを実行する
テキストマイニングはデータを分析すること自体が目的ではなく、データから有効な情報を抽出し、それを今後のアクションに繋げることで初めて価値が生まれる取り組みです。そのため、テキストマイニングを実践する際は、データ分析からアクションの検討・実行までをセットで考えてください。
テキストマイニングの分析結果をもとに具体的なアクションを考えることで、顧客目線に立った有効な施策を打ち出すことが可能になります。その結果、自社の運用改善や顧客満足度の向上などを実現でき、自社のビジネス成長に繋がります。
テキストマイニングに使える代表的なツール
膨大なデータを手動で分析することは困難であるため、テキストマイニングを効率的に進めるためにはITツールの活用が必要不可欠です。そして、これらのツールは「テキストマイニングツール」と呼ばれており、市場には様々なテキストマイニングツールが存在します。
本章では、代表的なテキストマイニングツールを3つに絞ってご紹介します。ぜひ、自社でテキストマイニングツールを導入する際の参考にしてください。
見える化エンジン

見える化エンジンは「株式会社 プラスアルファ・コンサルティング」が提供しているテキストマイニングツールであり、15億件という圧倒的なデータ取込上限数が特徴のサービスです。また、見える化エンジンの言語解析機能は日々進化しており、若者言葉やトレンドも簡単に抽出・分析できます。さらに、分析コンサルタントによるデータ活用サポートも付帯されているため、初心者でも安心して利用できる点が大きなメリットだといえるでしょう。
VextMiner

VextMiner(ベクストマイナー)は「ベクスト 株式会社」が提供しているテキストマイニングツールです。自動学習・自動分類により主要な話題を簡潔に抽出できる点が大きな特徴であり、構築した分類体系はルールとして抽出可能なため、時系列変化を素早く把握することができます。さらに、会話分析やバッチ処理など、状況に応じて利用できる様々なオプション機能が用意されている点もVextMinerの魅力の一つとなっています。
TRAINA

TRAINA(トレイナ)は「株式会社 野村総合研究所(NRI)」が提供するテキストマイニングツールであり、自然言語処理(NLP)技術や機械学習などのAI機能をプロダクトに反映している点が大きな特徴です。実業務に即した使いやすいユーザーインターフェースや、独自開発した言語解析エンジンによる圧倒的な動作スピードなど、TRAINAならではのメリットが多く存在しており、数多くの企業から支持を集めるサービスとなっています。
テキストマイニングのビジネス活用事例
最後に、テキストマイニングのビジネスにおける活用事例をご紹介します。どれも実践的な内容となっているため、自社でテキストマイニングを始める際の参考としてご覧ください。
ネット銀行
とあるネット銀行では、カスタマーセンターに寄せられる月数万件の読み取り作業が大きな負荷となっていました。そして、この課題を解決するためにテキストマイニングツールを導入した結果、これまでは数十時間かかっていた作業を2時間で完了できるようになり、自社の業務を大幅に効率化することができました。さらに、今後はテキストマイニングで分析したデータを営業・マーケティング活動に反映することも視野に入れており、会社全体でデータドリブンな経営基盤を構築することに成功しています。
関連記事:データドリブン経営とは?具体的な実現方法を 5Step でご紹介!
コールセンター
とあるコールセンターでは、テキストマイニングツールを活用して通話音声のリアルタイムなテキスト化を実現し、その内容をオペレーターの評価に活用しています。例えば、マニュアルに定められたワードを使えているかどうかや、「あの」「えっと」などの応対品質を下げる言葉を使っていないかどうかをチェックします。そして、これらの情報をもとに加点・減点のルールを整備して、オペレーターの評価に反映することで、組織全体の応対品質向上に取り組んでいます。
コンサルティング会社
とあるコンサルティング会社では、年間20万件以上におよぶアンケート調査を効率化するためにテキストマイニングツールを活用しています。膨大なアンケートを手動で分析するのは困難でしたが、テキストマイニングツールの導入により作業を効率化でき、短時間でレポートを作成して顧客へ提出することが可能になりました。その結果、自社の業務効率化とともに顧客満足度の向上にも繋がり、自社のビジネス成長を実現できた好事例となっています。
まとめ
本記事では、テキストマイニングの概要や分析手法、具体的なやり方、成功事例などを一挙にご紹介しました。企業がテキストマイニングを実践することで、顧客ニーズの把握や自社課題の見える化など、様々なメリットを享受できます。
テキストマイニングの進め方は一般的に共通しているため、この記事を読み返して重要なポイントを理解しておいてください。また、テキストマイニングを効率的に進めるためには、ITツールが有効な手段になるため、必要に応じて前向きに検討すると良いでしょう。
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本記事を参考にして、ぜひテキストマイニングを実践してみてはいかがでしょうか?